パチンコ業界、女性取り込みに本腰? 人口半減危機への対策に海外も注目
29日に臨時国会が召集される。海外メディアは、継続審議となっているカジノ法案が、この会期中に成立するかという点に加えて、日本の伝統的な「ギャンブル」である、パチンコ業界の出方に注目している。
【パチンコ客がカジノに奪われる?】
ウェブ誌『ディプロマット』は、顧客層が高齢化し凋落してきているとはいえ、パチンコ業界の昨年の売上は19兆円に上り、日本のレジャー産業中最大であるとし、日本にこれだけのギャンブル市場があるのなら、アメリカのカジノ業界が進出を狙うのも当然だと述べる。
だが、同誌によると厚労省は、カジノ解禁によりギャンブル依存症患者が増加する懸念があるとして、日本人の利用を認めないよう求めていく、という。
同誌によれば、モンテカルロに国営カジノ場を持つモナコは、自国民のカジノ使用を禁じているし、2010年にカジノを解禁し、今やマカオ、ラスベガスに次いで世界3位のカジノ大国となったシンガポールも、かつて自国民の立ち入り禁止を検討していたという。
エコノミスト誌によれば、パチンコチェーン最大手「ダイナム」の取締役会議長佐藤洋治氏は、カジノが解禁されても戦う準備ありと主張しているという。政府が認可するカジノ施設はせいぜい10か所で、それらは裕福な外国人観光客を魅了するだろうが、日本の労働者はパチンコを続けるだろう、と佐藤氏は述べる。
【パチンコ業界の課題】
英エコノミスト誌によれば、パチンコ業界はカジノ解禁よりも、もっと大きな課題を抱えている。それは、ビデオゲームで育った若者世代向けに業界が自己変革を遂げられるかだという。
若者にとってパチンコは時代遅れとみなされ、2002年以来利用者は半減している。ダイナムの広報担当者は、若年層と女性を惹きつけられなければ業界の存続は危ういと語る。
【改革の試み】
ニューヨーク・タイムズ紙は、ダイナムのライバルである、名古屋の「ZENT」による試みを紹介している。
ZENTではデジタルゲーム世代受けを狙った液晶ディスプレー採用の台を備えるほか、女性店員はフライトアテンダントのような制服を身に着け、監視カメラも装備している。
同社名古屋北店は女性にアピールするよう喫煙所を設置、禁煙とし、女性専用ラウンジ、豪華トイレを備えるほか、ミニ・ショッピングモールも併設、コンビニやラーメン店、コーヒーショップ、コインランドリー、フラワーショップ、託児所、ワインセラー、アートギャラリーまで備えている。
ZENT社長の都筑善雄氏によれば、同店の顧客の5分の1が女性で、これは業界平均の2倍だという。
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