日本提案、クロマグロ未成魚の漁獲枠半減へ メバチマグロ等の個体数減少にも懸念
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は4日、福岡市で小委員会を開き、クロマグロの未成魚(重さ30キロ未満)の漁獲枠を、2015年から半減させることで関係国が合意した。
2015年から10年間、日本周辺を含む西太平洋で、未成魚の漁獲量を、基準期間(2002~2004年)平均の半分に制限する。30キロ以上の親魚も、基準期間の実績を上限とする。漁獲制限により、この地域の親魚を今の倍近い約4万3千トンに増やすことを目指す。
クロマグロは南西諸島などで産卵し、アメリカ沖を周遊して成長する。マグロ類で最も高級で、すしネタや刺し身として人気が高く、大きな親魚は400キロを超える。
【クロマグロの約8割を消費する日本】
クロマグロの漁獲半減は、クロマグロの約8割を消費する日本が委員会に提案した。未成魚の取りすぎで親魚が過去最低の水準に減っており、日本に対応を求める声が出ていたからだ。
クロマグロの漁獲半減が日本に与える影響は大きい、とロサンゼルス・タイムズ紙は指摘している。日本のクロマグロ消費量は、太平洋地域全体のクロマグロ漁獲量よりも多い。日本は、2015年以降、未成魚の漁獲量が10年前の平均の半分である4007トンに制限される。
アメリカ海洋大気庁は、先月、法律を改正し、大西洋の魚類が産卵する場所であるメキシコ湾とノース・カロライナ州のハッテラス岬における延縄漁を制限した。延縄は、クロマグロ以外の魚を獲る目的で仕掛けられていたとしても、毎年多くのクロマグロが巻き込まれ犠牲になる。2012年だけでも約200トンのクロマグロが、18時間も海洋を引きずりまわされたあげく、延縄の中で死に、廃棄された、と同紙は報道している。
【メバチマグロ、カツオ、キハダなども危険水域に】
WCPFCのグレン・ハリー事務局長は2日、太平洋中西部におけるマグロの個体数の減少が深刻であり、マグロ漁業を停止し、個体数の回復を図らなければならない、と述べた『IB Times』および『The Star』によると、同局長は、他の魚の個体数の減少も著しい、と懸念を表明した。
太平洋クロマグロの産卵成魚バイオマスは本来の3%程度であり、最大の危機にある。また、メバチマグロの個体数は臨界値以下であり、産卵成魚バイオマスは本来の20%だ。キハダマグロの産卵成魚バイオマスも本来の40%以下である。
総じて、乱獲と漁獲類の絶滅を防ぐために、断固とした行動が必要であることを示している。
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