日本のデング熱、気候変動の影響も? WHOは感染国の拡大を懸念

 8月27日に最初の感染者が確認されてから、デング熱の感染者数が増え続けている。感染者はいずれも、東京の代々木公園とその周辺で蚊に刺されており、園内で採取した蚊から、デングウィルスが検出された。同公園のほとんどのエリアは、4日午後に緊急封鎖された。

【熱帯の感染症】
 デング熱は、熱帯の病気で、効果的なワクチンは今のところない。デングウィルスを持ったネッタイシマカという蚊に刺されることで感染する。突然の発熱、頭痛、筋肉痛、発疹等の症状から始まり、最悪の場合、出血を引き起こし死に至ることもある(インターナショナル・ビジネス・タイムズ)。

 世界保健機関(WHO)の発表では、デング熱の感染者は毎年世界で5000万人から1億人だ。しかし、新しい研究ではその4倍と推定される、とCNNは報じている。インターナショナル・ビジネス・タイムズは、年間の世界の感染者数は、5000万人から5億2800万人、死者は2万5000人という『オックスフォード・ジャーナル』の報告を紹介している。

【気候変動や都市化で増加】
 WHOは、マラリア、デング熱等の感染症は、気候に大きく影響を受けるという報告を出している。湿度や気温が高いことは、蚊が長く生きられることを意味し、広範囲に飛び、病気を媒介しやすくするということだ(CNN)。

「気候関連の影響やその結果としておきる病気の被害を最も受けるのは、貧困者、障がい者、子供などの弱者で、毎年何百万人もが犠牲になっている」とWHOの関係者は述べ、「気候変動の影響を和らげ、適応させる効果的施策がなくては、社会は最も深刻な健康上の課題に直面するだろう」としている(CNN)。

 WHOによれば、デング熱の感染者数は、1960年から2010年の間に、約30倍に増加している。一時は東南アジアだけに限られていた感染は、現在は中国南部や太平洋にある国々、欧米にまで広がっているという。都市化、人口増加、海外旅行の増加や気候変動などが組み合わさり、感染が拡大している(インターナショナル・ビジネス・タイムズ)

【日本の感染拡大は?】
 CNNのインタビューを受けた、大阪大学微生物病研究所の黒須剛助教授は、東京の感染はおそらく国外から来た感染者によってもたらされ、国内の蚊によって媒介されたものだろうと指摘する。同氏は、「秋も近く、この種の蚊は冷たい気候では生きられない」とし、ウィルスの封じ込めはできるだろうと述べている。

 政府も、専門家からは爆発的に感染が広がるという懸念は出ていない、と述べ、冷静に対応することを呼びかけた(テレグラフ紙)。

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Text by NewSphere 編集部