イスラム教徒“東京は戸惑うが生きやすい”…無関心さのおかげ?海外が報じる日本とイスラム教の関係
日本国内のイスラム教徒は増え続けている。また世界的なイスラム教徒の観光市場拡大という観点からも、日本国民がイスラム教についてもっと知り、国全体でイスラム教徒を受け入れる基盤が必要となっている。海外メディアはイスラム教について取り上げた。
◆日本のイスラム教徒
『On Islam』によると、日本最初のイスラム教は、ロシア革命後にロシアから移住してきたトルコ系イスラム教徒による。1980年代イラン、パキスタン、バングラデシュからの労働者を始めとするイスラム教徒の移住が最盛期を迎えた。イスラム研究者、桜井啓子教授によると、1990年代にはイスラム教徒の学生が日本の大学に入学し始め、1986年の1,957人から2004年までに6,758人まで増加した。現在人口が世界10位規模の日本ではイスラム教徒のコミュニティーが12万人にまでなっている。
ザ・ディプロマット誌は、東京に住む若いイスラム教徒の学生たちを取り上げた。アフガニスタンの学生アミルさんは、東京に来て人生で初めて選択の自由を得たと話す。イラクの大学生ハファさんはアメリカと日本で留学生活を送るうちに、服装や食べ物といった表面的な宗教ではなく、真の目的を意識するようになった。
一方で服装や儀式を重んじるイスラム教徒の若者たちは、日本での社会生活において困難に直面している。職場で祈りの時間を持つときや、「ヒジャーブ」と呼ばれるベールをかぶっていること、また日本社会においてコミュニケーションの場である飲み会に参加できないことなどが挙げられている。
戸惑うことは多いものの、東京での生活はイスラム教徒にとって住みにくいものではない。ザ・ディプロマット誌は、東京の人々の正確さ、従順さ、他人に無関心であることが、イスラム教徒の生活を安易にしている要因のようだ、と論じている。
◆オマーン展
『On Islam』は、京都の同志社大学が、極東で初めてオマーン展を開催したことを報じている。日本人にオマーンの共存と寛容のメッセージを伝える目的だという。同志社大学神学部教授、一神教学際研究、小原克博センター長はスピーチで、「イスラム教の基本原則を知り、また寛容という価値観を世界に発信しているオマーンの功績を知るきっかけとなる」と話した。
日本のイスラム教徒の学生たちが、歓迎している。「イスラム教はオマーンに具体化されている。影響が自分の勉強している京都にまで届いたことが嬉しい」と、京都大学のオマーン人女子学生は語った。「母国の香り、寛容、共存の心が世界に広がれば良い」と話す。
◆日本基準の「ローカルハラル認証」
『Tech in Asia』は、イスラム教徒の観光市場は2011年アウトバウンド支出が1261億ドル(12兆9200億円)で、世界的なアウトバウンド支出の12.3%を占めた、と報じている。2020年までには前年比4.97%の上昇が見込まれているという。
格付け会社クレセント・レーティングは、「ハラール・トリップ」というイスラム教徒観光サービスを開始、ハラルフレンドリーの基準に基づいた航空券、ホテル、パッケージツアーという旅行サービスをネット上で販売する。
日本国内でもイスラム教徒の観光市場を拡大しようとする動きがある。東洋経済オンラインは、日本基準の「ローカルハラル認証」、について報じた。ハラルとはイスラム法において合法なもののことで、ハラル認証というのは、イスラム教で禁じられている原材料を含まない製品にハラル・マークを付与しようというものだ。ハラル認証には世界での統一基準はなく、国ごとに制度が異なっているという。日本の実状に合わせて現地化させたハラルを推奨している。