東電、汚染前の地下水を海洋放出へ 福島漁連も容認 海外紙は曖昧さを懸念

 政府と東京電力は4日、福島第一原発周辺の地下水を、原子炉建屋に流れ込む前にくみ上げて海に放出する、「地下水バイパス計画」について、早ければ5月1日から開始すると発表した。県漁連が計画受け入れを決定し、手続きが事実上終了した形だ。

 福島第一原発の汚染水問題では、原発に1日400t流れ込む地下水を減らすことが課題となっている。3月25日時点で、敷地内の約1000基のタンクに、44万6000t以上の汚染水が貯蔵されていた。

 東電は、「地下水バイパス」により、地下水の流入量を1日約100t減らせるとしている。

【漁連にとっては苦渋の決断】
 原発周辺の市町村や福島漁連はこれまで、政府と東電の「地下水バイパス計画」に反対してきた。その理由は、東電の過去の虚偽の安全報告やごまかしのためだとブルームバーグは報じている。

 しかし3月25日、いわき市で開催された会議で、県漁連は計画を容認する方針を示した。

 これは漁連にとって苦渋の決断だと『デジタル・ジャーナル』は報じた。何もしなければ、1年以内に原発に汚染水を貯蔵する余地はなくなる。一方、汚染水を放出すれば、漁師にとって大きな経済的ストレスとなる。

【漁師の懸念を払うための政府と東電の取り組み】
 政府と東電は、地下水放出による放射能汚染についての漁師の懸念を払しょくするため、「第三者による監視」「政府職員によるモニタリング」「風評被害による損害賠償」などの措置をとるとしている。また、「地下水排出運用基準の順守」や「適正な情報開示」にも全面的に取り組むとしている。

 資源エネルギー庁の糟谷敏秀・電力ガス事業部長は、最初に放出される地下水について、約1ヶ月間は徹底的に分析すると語っているという。

【5月1日から運用開始する準備は整っているか?】
 計画開始の時期について、茂木敏充経済産業相は「コウナゴ漁のシーズンが終わる4月末以降」とした。

 ただ、東電は「地下水バイパス」システムの準備が既に整っているのかどうかについて明らかにしていない、と『デジタル・ジャーナル』は指摘した。

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Text by NewSphere 編集部