問題解決能力調査、日本は3位 英紙“アジアに追いつくのは長い道のり”

 OECDが2012年に15歳を対象に実施した学習到達度調査(PISA)のうち、「問題解決能力」の結果が公表された。

 これによるとシンガポールがトップにたち、韓国、香港、中国(上海)、日本などアジア諸国が上位を占めた。アメリカ、イギリスは平均を上回ったもののアジア諸国には及ばなかった。この結果に関し、各国主要メディアが論評を掲載している。

【アジア諸国の後塵を拝した欧米の反応は】
 イギリスは44か国中11位だった。フィンランドを除くヨーロッパの他国と比較して問題解決能力に勝るが、アジア諸国に比べると劣る。また、アカデミックな内容よりも、実生活に即した内容を得意とする。

 英テレグラフ紙は、バッキンガム大学教授アラン・スミサー氏の「イギリスは問題解決に必要な常識は持っているが、数学や科学は勉強していない。アジア諸国に追いつくのには長い道のりだ」との論評を掲載している。

 また、イギリス教育省は、同国の新しいカリキュラムでは基礎に重点を置き、16歳の統一テストである新GCSE, A-levelでは水平思考を重視した自由回答質問方式をとったとしている。

 アメリカでも同様の結果であった。また、アメリカは問題解決に必要な情報を発見するといった対話型でのタスクに優れ、解決に直観を使う傾向にあるという。

 欧米各国の実情についてテレグラフ紙は、アンドレアス・シュライヒャーOECD教育局次長による「問題解決能力の低い今日の15歳は、明日の大人だ」との厳しいコメントを掲載した。

 一方でニューヨーク・タイムズ紙は、PISAの結果に批判的な意見も掲載し、アジア諸国が上位を占めるのは、事実や形式の機械的手順の学習に優れていることの証明だとしている。

【1位はシンガポール】
 シンガポールが1位にたったことについて、『チャンネルニュースアジア」は次の各氏の論評を掲載した。

 アンドレアス・シュライヒャー氏:「シンガポールの生徒は非常に創造力に富んでいる。世界の変化は速く、成功に必要なスキルも変化する。その意味で教育は社会に必要なスキルに敏感であるべき。シンガポールが成功しているのは、まさにここにある、シンガポールは世界の出来事に敏感だからだ」

 Madam Low Khah Gekシンガポール教育省大臣:「問題解決という名前の科目はない。教師は様々な科目を横断的に教え、能動的に学ぶ機会が生徒に与えられている」。

 Madam Low Khah Gek教育省大臣はさらに「生徒は自分でアイディアを考え、プランを練り、実際に行う。教師は科目を教えるだけでなく、試験で計ることのできないような技能も教えている。試験に焦点を当てたプログラムから脱却し、より応用のきく学習へと移行するよう努力している」とシンガポールの教育が成功しているとの考えを示した。

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Text by NewSphere 編集部