山口組のHPが海外で話題 “90年代風デザイン”で、餅つき行事や災害救援活動など紹介

 日本最大規模の指定暴力団、山口組が開設したと見られる「麻薬追放国土浄化同盟」というウェブサイトが、海外メディアの注目を集めている。実際、Whoisでドメイン情報を確認すると、山口組総本部の住所(兵庫県神戸市灘区篠原本町4-3-1)で登録されていた。ただし、「警視庁は現時点では山口組によって作られたものかは断言できないと発表している」とガーディアン紙などは指摘する。

 一般的に想像される「ヤクザ」のイメージからかけ離れたサイトの内容が話題となっている。

【任侠一筋。笑顔で和気あいあい】
 同サイトは、日本から麻薬を一掃し、秩序ある社会へと導くことをモットーとして、国民の幸福を追求する先駆けとなることを誓うと掲げている。これは、山口組を大きく成長させた3代目組長・田岡一雄氏の信念であり、麻薬追放国土浄化同盟も同氏が発足させたものだという。

 田岡氏は、戦時中に兵士たちに多用され、その後も国内に蔓延し国民を堕落させていた麻薬を嫌い、その撲滅を掲げた、とニュースサイト『ヴァイス(vice.com)』が報じている。その信念と団体は、現在6代目の司忍組長に引き継がれているという。

 サイト内には親分の初詣や、笑顔が溢れる和気あいあいとした組の餅つき大会の動画の他、地域での清掃活動や災害時の救援活動の様子などを写した写真が掲載されている。さらに、司忍組長のオリジナルソングだとも言われる「仁侠一筋」の映像もあり、ヤクザとしての義理や人情、覚悟などが演歌調で歌われている。

 「ヤクザのサイト」と聞きつけ、銃撃戦や体中を覆う刺青、指を詰める様子などを連想してアクセスする人には、期待はずれの平和で健全な「古き良き日本」をテーマとした仕上がりとなっている、と各紙は報じた。

【サイト開設の狙いとは?】
 組長らの反麻薬精神を強調し健全な活動をアピールする内容や、時代遅れ感が否めないデザインであることから、このサイトは組合のトップの人間が作ったものではないか、とヴァイスは推測している。

 また、日本の暴力団の活動に詳しいジャーナリストは、昨今の警察の取り調べ強化でヤクザの組員数が激減している点を挙げ、日本最大規模の山口組でさえもその存続危機に直面しているのではないかと述べているという。2013年の全国の暴力団員数は過去最少の6万人に落ち込んでいる。

 その半数近くを占める山口組も、最近は機関紙「山口新報」を発刊し、組の指針の他、組長やトップらによる釣り日記や川柳、囲碁将棋コーナーなど設置し、組合内での意思疎通や関係強化を図っている。サイトは、組員に麻薬禁止の念を押すと共に、社会に対してイメージアップを図り新たな組員獲得を狙っているのではないか、と各紙は報じている。

【海外読者からの反応】
 各メディアの記事はツイッターやフェイスブック上でも多くシェアされているが、サイトの内容や最新技術を駆使したとは言えないデザインから「エイプリルフール?!」と、公式なものだとは信じられないというコメントが少なくない。

 さらには、「ヤクザ=指詰め」というイメージも強いらしく、こんな冗談交じりのコメントもみられた。
・投稿者A「(救援活動とあるが)彼らは食料の蓄えをしているの?」
→投稿者B「もちろん!でも、フィンガーフードしかないけどね!」

・「問い合わせボタンをクリックしようとしたら指がなくなっちゃったよ!」

 また、「下のコンタクト(contact:問い合わせ)ボタンはコントラクト(contract:契約、契を結ぶ)ボタンであるべきじゃない?」などと指摘する声もあった。

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Text by NewSphere 編集部