「世界一厳しい基準」で再稼働へ 第一号は鹿児島・川内原発か?海外も注目

 原子力規制委員会は13日、新規制基準への適合審査中だった全国17基の原子力発電所のうち、鹿児島県にある九州電力川内(せんだい)原発1・2号機の審査を優先的に進めることを決めた。

 海外メディアは、日本では現在48基ある原発の全てが止まっていること、福島第一原発事故以前には日本の電力需要の30%近くが原発でまかなわれていたことを伝える。原発が止まっている今、日本は代替エネルギーとして化石燃料を輸入する状況が続いており、貿易赤字額は過去最高になっている。

 菅官房長官は原子力規制委の決定に関して、「世界一厳しい基準に基づいて原子力規制委員会でしっかりと審査してほしい。地元自治体の取り組みと連携しながら政府として判断する」と語ったという。

【世論調査の結果と安倍政権の方針】
 ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は、日本は原発推進の是非に関して、世界で最も意見が割れている国であるとして、東京新聞が今月実施した世論調査結果を伝えている。これによると、原発の今後に関して「即時ゼロ」「段階的に減らし、将来はゼロ」との回答が、合わせて69%を占めたという。

 一方、安倍首相は10日の参院予算委員会で、今後のエネルギー政策について「(原発)ゼロを前提としてエネルギー政策を立てることはできない」と述べ、原発を再稼働する方針を堅持する考えを強調した。

【川内再稼働へのプロセス、時期】
 ただ、川内原発の再稼働時期について、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は予測が困難だと報じる。規制委による審査が終わった後には、1ヶ月間パブリックコメントが求められ、その間、川内原発に大きな問題が起らなければ、新規制基準への適合が認定される。再稼働はその後さらに、地元の同意のもと、政府が決定するという。

 ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は、「地元での承認が6月半ばに得られたとして、夏場の電力需要のピークに間に合わせるのがやっとだろう」というアナリストの見方を紹介している。

【福島原発汚染水の状況】
 また、東日本大震災から3年目の3月11日、東京電力の原子力改革監視委員会のクライン委員長(元米原子力規制委員会委員長)が、福島第一原発内の汚染水処理には長期的な計画が欠けていると述べたとワシントン・ポスト紙は報じている。

 今も汚染水は地下水と原子炉の冷却水が混じり合い1日400トンの割合で増えている。汚染水についてクライン委員長は「放射性物質を濾過した上で放出した方が、現場に保管するより安全である」と述べたという。

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Text by NewSphere 編集部