“強い”被災者こそ、メンタルケアが必要 “3.11”から3年、海外メディアの報道とは

 11日で、東日本大震災の発生から3年がたつ。約16000人が犠牲となり、2500人以上がいまだに行方不明だ。

【精神的被害に苦しむ被災者】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、喪失感に苦しむ被災者のメンタルケアの必要性に着目している。

 大きな被害にあった岩手県陸前高田市では、大規模な復興計画が進行中だ。4月からの市の予算は、約1300億円。中心街を約18mの津波に襲われた市は、海岸沿いの土地を約12m盛土する計画だ。

 復興計画予算には、カウンセラーの雇用などメンタルケアの予算も含まれる。久保田崇副市長は、「適切な対応をとっていると考えている」と述べる一方で、自治体ができることには限界があるとも説明している。

 専門家は、地域社会の喪失と生き残ったことによる罪悪感が、患者に必要な治療を受けることから遠ざけている、と指摘している。地方医は、「陸前高田の患者は、現状を耐え自力で回復するのだという自尊心が強い。精神科の受診をすすめた患者の約半分は、それを拒否した」と話したという。同紙は、生き残った被災者のうち約30%はうつ病の傾向がある、との東北大学の調査結果を報じている。

【被災者の希望に沿わない復興計画】
 震災から3年、約27万人が避難生活を続けている。シアトル・タイムズ紙は、復興計画が予定通り進んだとしても新居に移れるのは2年先であり、費用や援助額の見当もつかない、という被災者の不安を取り上げた。

 海外の報道は減り、メディアの関心は福島の原発に集まっている--。被災者たちは、国外だけでなく、国内の関心も薄れているのではと感じるという。

 復興が進まないのは、予算が不足しているためではない。

 政府は、5年間の復興計画に約25兆円を投じ、計画の進行を早めると約束したばかりだ。しかし、これまでの失策やお役所仕事で政府への信頼は損なわれている、と同紙は指摘している。海外の専門家は被災者に「あきらめと怒りが共存している」と表している。

 同紙は、気仙沼の実業家が「海と共に暮らそう」とのスローガンを掲げ、防波堤を海岸沿いに建設するという政府の計画変更を求めている様子を報じている。3年前の震災で、津波はそれまであった防波堤をはるかに超えて街を襲った。このことを受けての政府の決定は、“さらに高い防波堤”であった。

 被災者は、防波堤が景観を損なうだけでなく、災害に対して間違った安心感を与えてしまうと訴える。「津波はいつ来るのか、どのくらいの高さなのかは予測できない」「必要なのは、災害時の避難のための道路だ。しかし、そのための予算はない」と、被災者の要望と政府の認識のズレを批判している。

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Text by NewSphere 編集部