福島原発作業員、ヤクザが1,050人を「使い捨て」? 海外メディアの告発
ロイターは、福島第一原発で汚染水貯蔵タンクの組み立てなどを行う作業員の雇用実態を告発した。記事は、過酷な現場に最後まで残ったある作業員の、内部告発闘争記に近い趣きを帯びている。
【違法派遣で粗製乱造されているタンク】
取材された作業員は、求人が少なく賃金が低い沖縄で2012年7月に募集された17人のひとりで、福島原発での仕事、としか説明されなかったという。契約書もなかった。作業員らは、現場では大成建設の下請けであるテック社の指示を受けていたが、雇用主は沖縄の東建興業で、派遣業免許が無い上、違法な孫請けである。さらにテックも作業員らに対し、テックに直接雇用されているよう、調査に対して偽ることを指示していたという。
小部屋に3~4人が放り込まれ、朝5時に朝食など、労働環境も劣悪であった。貯水タンク不足の焦りからか、作業は質よりスピードが優先で、作業員らも「粗末な仕事」と認めるものであった。タンク自体も、溶接ではなくボルト留めの簡素なものだったとのこと。雨や雪の天候下、金属には付かない充填剤でタンクの隙間を塞ぐような「何の意味もない」作業もあれば、説明なしに危険な作業をさせられることもあったという。沖縄からの17人は、最初の1ヶ月で5人が辞めた。
孫請けの問題点は、賃金のピンハネと、責任の所在が曖昧になることである。記事からは、東電が現場の実態を正確に把握しようとしていた印象は受けないが、東電は11月、下請け監視の強化と数千の労働者の賃金倍増を約束した。なお東建興業は9月に、沖縄の労働規制当局に摘発されている。
【人手不足の東電に群がるヤクザ】
福島第一原発の除染・解体には30年掛かると言われており、作業員はまるで足りていないという。英メール・オンラインは、こうした違法派遣にはヤクザ・ギャングが関わっており、債務者やホームレスを強制的に送り込んでは被曝するとすぐクビにしている、と報じた。
潜入した覆面記者の調査によれば「使い捨て人間」たちには、保険や放射線計さえ与えられていなかったという。ある作業員は「連中は大金を約束し、長期契約さえ署名したのに、その後いきなり終わりにして、約束した合計の3分の1も払っていない」と証言している。
警察は現在、50におよぶヤクザが1050人の労働者を抱えていると見積もっており、英雄視された震災直後の作業員第一陣、「フクシマ50」でさえ、少なくとも3人はヤクザに送りこまれたものだという。