日本のウイスキー、なぜ世界で高評価? 過剰なまでの“職人魂”が要因と米メディア分析
世界のウイスキー愛好家が、質の高いウイスキーを探し求めるとき、日本のウイスキーは、今や候補として欠かせないものになっている。国際的なコンテストでも、さまざまな賞を受賞している。
【世界で評価される、日本のウイスキーの味と香り】
イギリスの「ワールド・ウイスキー・アワード2014」では、今年3月、ニッカウヰスキーの『竹鶴17年ピュアモルト』が、世界最高のブレンデッドモルトウイスキーと認定された。また2013年には、サントリーの『響21年』が、世界最高のブレンデッドウイスキーに認定されている。
ブルームバーグによると、日本のウイスキーは、伝統的なスコッチとDNAの基礎部分を共有しているという。けれどもそれは、ただ単にスコッチの日本版、というのではない。調和と厳密さに基づき、スコッチとはまた別の、著しく繊細な美学が実現されているという。CNNは、日本のウイスキーはスコッチよりも角がなく、舌に甘く、芳香が良い、と評している。
【日本のウイスキー造りの歴史は、“クラフトマンシップ”の歴史】
日本のウイスキー造りは、今から90年前、大阪府山崎に、日本初のモルトウイスキー蒸留所が建造されたことから始まる。建造の指揮を執ったのは、スコットランドでウイスキー造りを学んだ「日本のウイスキーの父」、竹鶴政孝氏だ。
竹鶴氏が根付かせた、スコットランド仕込みの伝統的なウイスキー製法を大事にしながら、この山崎蒸留所では、最良を求めて、さまざまな創意工夫が繰り返されてきたようだ。その実例としてCNNが挙げているのは、ウイスキーの味わいに大きく影響する貯蔵樽だ。山崎蒸留所を訪れた記者は、3000樽が眠る貯蔵庫の眺めは、工場見学ツアーで一番印象的だと語っている。
サントリーによれば、この蒸留所では、さまざまなオーク材の、大きさや形の異なった樽が使用されているという。使用されている木材について、CNNは、「創意に富んだ、過剰なまでのクラフトマンシップという日本の伝統として、樽に使用される木材は、広範な実験の課題であり続けている」と述べている。
特徴的な表現だが、モノづくりをするとき、工夫できるところは、とことんまで工夫しないと気が済まないのが日本の“クラフトマンシップ”(日本語なら“職人魂”に近い意味)という趣意だと思われる。
【ウイスキーに関連する、もう一つの“クラフトマンシップ”】
ウイスキーに関連して、日本の“クラフトマンシップ”のもう一つの例を紹介しよう。『九谷和グラス ロックグラス』だ。
九谷(くたに)焼は、石川県南部で作られている、伝統ある色絵磁器である。鮮やかな色合いの絵付、金箔を焼き付けて文様を描く金襴手(きんらんで)などが特徴だ。使う人の心を楽しませる、華やかさ、あでやかさを魅力に持つ器が多い。『九谷和グラス ロックグラス』は、この九谷焼の台座と、ファインクリスタルのグラスを一体にしたものだ。
【オン・ザ・ロックを引き立たせるデザイン】
開発元の清峰堂によれば、『九谷和グラス ロックグラス』は、手のひらにしっくりとくる収まり具合や、台座に描かれた絵柄のグラスへの映り込み具合、グラスに氷が触れた際の響きの透明感に至るまで、細心の注意を払って作られているという。「商品化に至るまでに約3年間の試行錯誤を繰り返しました」と、清水則徳社長は語っている。また、1点1点が職人の手作りであるという。
この『九谷和グラス ロックグラス』で日本のウイスキーを飲めば、CNNが日本のウイスキーの魅力として挙げた、甘さ(味覚)と香り(臭覚)に加えて、触覚、視覚、聴覚と、五感の全てで味わうことになる。
熟成された日本の“クラフトマンシップ”は、手のひらの中で、ゆっくりと時間をかけてこそ、その良さが伝わるものではないだろうか。
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