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マニュアル超えたFC経営者、折れたマクドナルド…ビッグマックの誕生 生みの親が死去

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マニュアル超えたFC経営者、折れたマクドナルド…ビッグマックの誕生 生みの親が死去

 1967年の誕生以来、世界100ヶ国以上で愛され続けるマクドナルドの「ビッグマック」の考案者、マイケル・ジェームス・デリガッティ氏が98歳で亡くなった。現地メディアは同氏の経歴やビッグマック誕生の秘話に加え、消費者の変わる嗜好に追いつこうと、イノベーションに取り組むマクドナルドの今を報じている。

◆ヒントはライバル店の味。当初はローカルメニューだった
 デリガッティ氏は、1918年、ピッツバーグ近郊の町で生まれた。地元の学校を卒業し陸軍に入隊。欧州で第2次世界大戦を戦った後、帰国してヒッチハイクでカリフォルニアに渡り、ドライブイン・レストランで働いていた。1953年、ピッツバーグで共同経営者とともにレストランを開くが、2年後にマクドナルドの創業者レイ・クロック氏と出逢い、同社のフランチャイズオーナーとなる。1957年にはピッツバーグに西ペンシルバニア初の店舗を開き、現在では一族で同地区の21店舗を経営している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙、以下WSJ)。

 同氏がビッグマックを考案したのは1965年のことだが、本人いわく大発明ではなく、アイデア自体は近所のライバル店の人気メニューだったダブルデッカー・バーガーから拝借したと、生前ロサンゼルス・タイムズ紙に告白している(WSJ)。そして客はもっと大きいバーガーを望んでいると確信した同氏は、1967年に3層のゴマ付きバンズにビーフパティ2枚、レタス、チーズ、ピクルス、オニオンを挟み、特製の程よく甘酸っぱいソースをかけた新商品を自らの店舗で発売した。人気はあっという間に広がり、1968年には全国のマクドナルドで販売されることとなった(AP)。

◆ヒット商品は客の好みを読むことから。後ろ向きな本社を圧倒
 マクドナルド本社は、当時ハンバーガー、チーズバーバー、フライドポテトとシェイクといったシンプルな品揃えでも売り上げは上々だったため、「ビッグマック」の全国展開には消極的だったという。ピッツバーグ大学ビジネススクールの元副学部長のアン・デュガン氏は、デリガッティ氏のすごさは、単純に「客が欲しがるものを作った」ことだと指摘する。そして、フランチャイズには常に従うべきマニュアルがあるが、客の好みを良く知っていたデリガッティ氏は、あえてマニュアルを飛び越えたところに商機を見出したとし、彼の我慢強さとそれに折れたマクドナルドが、その後の歴史を作ったと説明している(AP)。

 ブルームバーグによれば、ホットケーキとソーセージなどの朝食メニューをマクドナルドに導入したのも、実はデリガッティ氏だ。ピッツバーグは鉄鋼業が盛んで、夜勤明けの労働者の空腹を満たすために思いついたものだという。その他にも、過去50年間に渡り、フランチャイズ経営者から考案されたアップルパイやエッグマックマフィンなどのメニューが、看板商品の地位を確立している。全米のマクドナルド店舗の90%はフランチャイズ店であり、デリガッティ氏から始まった彼らの貢献は、計り知れないものがあるといえよう。

 ちなみにWSJによれば、同氏はビッグマック考案の対価としてのロイヤルティなどの報酬は全く受け取っておらず、「記念の盾」を贈呈されただけということだ。また、同氏は数十年に渡り、1個540カロリーのビッグマックを少なくとも毎週1個は食べていて(AP)、自ら考案した商品を深く愛していたことがうかがえる。

◆変われるか?新メニュー、新サービスに期待
 WSJは、近年はビッグマックの魅力は薄れ、マクドナルドも新鮮、健康、カッコよさを売り物にするライバル店から客を引き戻すことに必死だと述べる。7月には有力なフランチャイズオーナーから他のオーナー宛てに、「ミレニアル世代のわずか5人に1人しかビッグマックを食べない」という悲観的な文書も回されたということだ。

 デリガッティ氏の息子のマイケル氏は、ビッグマックがオリジナル味にこだわる必要はないとWSJに述べており、関係者は消費者を引き付ける新たなメニュー、サービスの必要性を認識している。

 フォーブス誌によれば、現在全米各地でテストマーケティングが行われており、スパイシー・ビッグ・マック、朝食用ハッピーミール、新サイドメニューのチーズカード(揚げたチーズのようなスナック)などが試されているという。また、モバイル注文、テーブルでの接客サービス、客の好みに合わせたハンバーガーのカスタマイズなども実験的に導入されており、イノベーションの努力が進んでいるようだ。

(山川真智子)

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