日本の猫カフェ、世界に伝播中? 捨て猫保護し、カフェで里親探し
動物達と触れ合いながら、癒しの時間を過ごせる日本のアニマル・カフェが、欧米で話題だ。猫カフェに刺激されたイギリス版キャット・カフェも続々オープン。動物達の偉大なペットパワーを、英米紙が報じている。
◆東京はアニマル・カフェの宝庫
ロサンゼルス・タイムズ紙は、東京のオフィス街や商業地で営業するアニマル・カフェを取材。動物と過ごすひとときが、都会人に癒しを与えていると報じている。
同紙記者が取材した猫カフェは、渋谷のビルの中にあり、1時間コースが飲み物付で約1500円。猫グッズで装飾された室内は清掃が徹底され、空気清浄器で臭いも抑えられている。利用者は手を洗いスリッパに履き替えた後、室内で動き回る15匹の猫たちとただただ戯れるのだと言う。
猫カフェ以外にも、記者は小鳥やうさぎなどの小動物から、フクロウ、ヤギ、爬虫類までさまざまな動物と触れ合えるカフェを訪問。それぞれが、「コンクリート・ジャングル」東京に、「母なる自然」の注入を目指していると述べている。
◆イギリスでも猫カフェ・ブーム
英インディペンデント紙によれば、世界的なアニマル・カフェ人気は、1998年にオープンした台北の猫カフェから始まり、訪れた観光客が、そのコンセプトを日本に持ち帰ったということだ。日本初の猫カフェは2005年に大阪で開店し、現在東京だけでも40件存在するという。
動物好きが多いイギリスでも、猫カフェの開業が相次いでいる。オーストラリア人のローレン・ペアーズさんは、クラウドファンディングで10万8000ポンド(約1900万円)を調達し、昨年ロンドンにキャット・カフェをオープン。1ヶ月以上前から予約でいっぱいという盛況ぶりだ(インディペンダント紙)。
ニューカッスルのケイティ・ジェーン・グレイジアーさんは、捨て猫を保護し快適な環境を与え、それをビジネスに繋げるという日本の猫カフェのドキュメンタリー番組を見て、東京を訪問。「都市の厳しい環境の中で、このビジネスを始めた人たちのやる気に動かされ」、自らも捨て猫たちを引き取って、5月にキャット・カフェをオープンする。他の都市でも、捨て猫を集めたカフェが計画されており、客が猫の里親となってくれることを期待しているという(インディペンデント紙)。
◆動物は人を健康で幸福に
動物の癒し効果に注目したロンドンのブルネル大学は、毎週金曜日にうさぎと遊ぶ場を設け、学生の悩みやストレスの解消に役立てている。日本の猫カフェからヒントを得たという考案者のサリー・ヒッチナーさんは、「うさぎは身なりや成績で人を判断することはない」とし、ラビット・カフェで「皆が価値を認められ受け入れられる雰囲気を広めて行きたい」と話す(インディペンデント紙)。
イギリスでは、動物の癒し効果を学生の成績アップや、心のケアに活用する大学もあるという。2011年のマイアミ大学の研究では、ペットオーナーはそうでない人と比べて、より健康で幸福感が強いという研究結果も出ており、ペットを持てない人にとっては、アニマル・カフェはパーフェクトな選択肢だ、とインディペンデント紙は述べている。
◆癒す側にも配慮を
アニマル・カフェ・ブームには、問題点もある。前述のペアーズさんは、数匹の猫を死に至らせ閉鎖に追い込まれた、シンガポールのある猫カフェを例に挙げ、ブームの今、オーナーに強い責任感が求められることを強調する。また、キッチンに動物を入れない、予防注射、去勢をするなど、客が気持ち良く過ごせるよう配慮することも必要だと指摘する(インディペンデント紙)。
動物との触れ合いを売りにする、他のビジネスにも配慮が求められている。AFPは、日本の犬のレンタル・サービスについて報道。見知らぬ多数の人に扱われることで、犬が肉体的、精神的に被害を受けるとして、動物愛護団体から問題視されていると伝えている。