『鉄拳』新作の萌えキャラ、海外で炎上 ディレクター反論で論争も、実は…?
有名コンソールゲームシリーズ「鉄拳」の新作が7年ぶりにリリースされることが決定し、格闘ゲーム、いわゆる格ゲーの海外ファンからも注目を集めている。特に注目されているのは新キャラ「ラッキー・クロエ」だ。猫をモチーフにしたいわゆる萌え系の女性キャラクターで、日本でもタレントの佐野ひなこさんがコスプレをするなど話題になっている。
しかし、この「ラッキー・クロエ」、海外ゲーマーからの評判が芳しくない。さらに、ディレクターの原田勝弘氏が海外ゲーマーとTwitterで直接ラッキー・クロエについて議論するなど、この新キャラを取り巻く動きが拡大している。
【「この嫌悪感は何だろう」掲示板への書き込み】
ラッキー・クロエが鉄拳7に登場すると伝えられると、ゲーマーのコミュニティNeoGAFのスレッドにはネガティブな書き込みが殺到した。
「少しだるいな」
「この嫌悪感は何だろう」
米ゲーム情報サイト『Game Rant』ではこれらの書き込みを紹介し、詳細にラッキー・クロエの特徴を紹介した。いわゆる萌えキャラであるラッキー・クロエの「批判がどこから来るのかわかるのは簡単だ」としている。そして、それは「日本のビデオゲーム産業と欧米の主流の大衆の大きな距離を象徴するキャラクターデザイン」だと言及する。
ただし、この記事では格ゲーには「いるはずのない」キャラが登場するのが普通、ともしている。最終的に、記事ではこれでラッキー・クロエを引っ込めるのは良くないのでは、という意見が述べられている。
【鉄拳ディレクター原田氏がTwitterで反論】
このような海外での反応に対し、原田氏が自らのTwitterアカウントで反論する。原田氏は、決してラッキー・クロエが「西洋」のユーザー向けではないと主張。それに海外ユーザーが「では、ラッキー・クロエはアメリカ版では使えないということか?」と原田氏に質問する。原田氏の回答は以下である。
「あなたたちにラッキー・クロエは必要ないでしょうから。単純なことです。そしてもう一度『心配ない』と言いたい。あなたたちのための新しいキャラクターを発表します。」
さらに、海外ユーザーからは「ゲームセンター対戦で戦いたくないキャラ、つまりラッキー・クロエを消去する機能をつけて!お願い!」という要望まで挙がる。それに対して原田氏は、ラッキー・クロエは東アジアとヨーロッパ限定キャラだと回答する。
KOTAKUの記事では、原田氏がジョークを交えて新キャラに対するネガティブな意見に回答している例を挙げながら、彼はこの一連のやりとりを楽しんでいるようだ、としている。
結局、ラッキー・クロエは特定の地域で登場しないことになるのだろうか?KOTAKUの記事のライターはバンダイナムコのアメリカ支社に問い合わせるなど調査したが、はっきりした回答は得られなかった。何が起こっているのかわかるまでは結論に飛びつくのは避けよう、と結んでいる。
【結果ラッキー・クロエは注目の的に】
ゲーム情報サイトShoryukenの記事では、一連の議論について、これは原田氏のジョークなのだとしている。そして今まで鉄拳に限定キャラが登場しなかったことにも言及していくが、最終的によくイベントで原田氏の通訳を務めるバンダイナムコのシニアゲームデザイナー、Michael Murray氏のツイートを取り上げてこれが「決着だ」としている。
「こんなに多くの人が原田氏のラッキー・クロエに関する釣りにまじめに反応しているのが面白い。」
「彼は無料で宣伝するのが上手だ。」
そして、つまりラッキー・クロエは好かれていようとそうでなかろうとアメリカ版に登場するのだ、と結んでいる。確かに、この一連の議論でラッキー・クロエは話題性を持つキャラクターとなり、この議論の盛り上がりが鉄拳の新作の宣伝にもなっているのだ。
日本のコンテンツでは当たり前に登場する萌えキャラが、海外格ゲーファンから「No」をはっきりと突きつけられた。しかし、制作側はこれらの一連の議論さえ余裕を持って楽しみながら新作の制作を進めている。日本でのリリースも楽しみだ。