日本のロボット工学、鉄腕アトムとガンダムのおかげで発展? 海外メディア注目
文化庁の平成24年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業の成果としてまとめられた「日本アニメーションガイド ロボットアニメ編」の英訳版が今月公開された。昨年8月に公開されたオリジナルの同報告書は、日本のロボットアニメの歴史を90ページにまとめたもので、この種の研究では世界初となる。文化庁が10年以上前から推進している「クール・ジャパン」の一環であり、海外の人々にも日本のロボットアニメについての理解を深めてもらう狙いだ。
【日本と海外の橋渡しに】
この件を取り上げた複数のメディアは、ロボットアニメの歴史を商業的な側面から伝えた上で、「オリジナルアニメの成功は、多くのアニメ映画を生み出した。『トランスフォーマー』や『パシフィック・リム』といったアメリカ映画も日本のロボットアニメ文化の多大な影響下で作られた」との報告書の言葉を引用している。
ジャパンタイムズ紙は、報告書の翻訳者マット・アルト氏の、「この報告書は重要だ。なぜならば、日本人が巨大ロボ文化を日本のユニークなものだと明言した初めてのものだからだ」、「この十年間、日本のオタクと海外のオタクは互いのコミュニケーションをほとんど取ってこなかった。この報告書が国内と海外のポップカルチャー学者の橋渡しに強い効果がある」というコメントを紹介している。
【ロボット産業とアニメの関係】
米技術情報サイト『マザーボード』は、特に日本におけるロボット産業とアニメの関係について注目している。記事は、「1990年代までに、ロボットアニメの事物は文字通り現実になった。報告書は日本のロボットアニメの伝統と、科学者・技術者との相互関係を描きだし、機械工学への関心や憧れのルーツをロボットアニメとその玩具・模型にもつ者が多いと示唆している」と指摘。
また、「日本のロボット学者によってつくられたこれらの人型ロボットは、彼らが見ながら育ってきたロボットアニメに基礎を置く」という報告書の一文を引用。最近日本の企業や研究グループから発表されたKirobo、PaPeRo、Valkyrieが全て特撮ヒーローの外見をしていること、ASIMOが鉄腕アトムの影響を受けて作られたことを伝えている。
米ニュースサイト『ガーディアン・リバティ・ボイス』は、ロボット産業がアニメ文化にルーツを持つゆえに、日本は可愛らしい外見と人間的な性格を持つロボットを好み、時には生産的でないとの批判を生むほどだ、と報じている。
【日本のロボット産業】
さらに、『ガーディアン・リバティ・ボイス』は、日本におけるロボット産業の重要性について論じている。「日本ではロボットが幅広いポジションで働いており、人型ロボットが一番有名」とし、実例として、2009年発表の、ファッションショーでデビューした「HRP-4」や、2013年発表の、宇宙飛行士の話し相手としてISSに送られた、初の会話する人型ロボット「Kirobo」を紹介している。
ホンダの「ASIMO」については、走る、階段を上る、掴むなど、ありとあらゆる動きが可能で、知能面でも、人の顔を認識し、音声によるシンプルな命令を理解して応答するとし、世界で最も進歩した人型ロボットといわれていると報じている。
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