5年で変わった? コンテンツをシェアする動機(コラム)
「最も読まれる記事と、最もシェアされる記事は、なぜたいてい異なっているのか?」
ペンシルベニア大学のウォートン校のジョナ・バーガー教授(マーケティング)は、かつてスタンフォード大学の大学院生であった時、上のような疑問が浮かんだという。同教授の研究が、ザ・ニューヨーカー誌で紹介されている。
【記事がメールでシェアされるために必要な要素とは何なのか?】
同誌によると、教授は2008年の8月30日から11月30日までのタイムズ紙において、最もメールで送信されていた記事を見つけ出すために7000の記事を分析した。
その結果、刺激的な感情を呼び起こすことが、シェアされるために最も重要だとわかった。読者をイライラさせたり、不安にさせたりする内容(政治的スキャンダルや、癌を引き起こす新たな要因についての記事など)も、ポジティブな記事と同じくらい、シェアされる傾向にあるという。また、社会的流行を創り出す記事や、読者の記憶を呼び起こすような記事も、例として挙げられている。
【コンテンツがシェアされるためには】
バーガー教授の研究からは、「感情を共有したい」という人々の強い欲求が、コンテンツのシェアにつながるがることがわかった。2008年といえば、Facebookのユーザー数は1億人で、今の10分の1以下。メディア環境は大きく変わっている。
しかし、『Buzzfeed』、『upworthy』といったバイラルメディア(ソーシャル拡散をねらったコンテンツを発信)が急速に成長していることからも、シェアに関する人々の根源的な欲求は変わらないといえる。
伝統メディアも、この流れは無視できないようだ。
ハフィントン・ポスト(米国版)によると、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)で、2013年に最も人気だったコンテンツは、「いくつかの質問に答えると、自分がどの地域の人の話し方に近いかがわかる」というものだった。話し方がどの地域のものに近い/遠いかが、ヒートマップで示されるという、非常にわかりやすいもの。方言のグラフィックマップを作成していた大学院生をインターンとして迎え、公開したのだという。
(なお日本でも「出身地鑑定!! 方言チャート」がソーシャルメディアで拡散したことがあり、共通性を感じる)
【ソーシャル・シェアリングとは何か】
一方、ライターのDaniel Etcovitch氏は、ハフィントン・ポスト(米国版)への寄稿で、「ソーシャル・シェアリングとは何か」を論じている。
記事によると、ソーシャルメディアは、リアルな空間と別に存在しているわけではない。だからこそ、人々は、自分たちのワクワクする体験を見てもらうために、Facebookで写真をシェアするのだという。
これを理解している企業のサービスが、広く人々に受け入れられている。「Moment.Me」という、FacebookやTwitter,などソーシャルメディアの情報を1つに集めるというアプリまで生まれている。(ユーザーは300万人とのこと)。
総じて、シェアの動機は変わらず、その形が変わってきた昨今の状況がうかがえる。