大型契約敬遠してきたヤンキース 田中投手と「7年162億円」契約に踏み切ったワケ
東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手が、米大リーグのニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約162億円)で契約した。4年後には契約を破棄できる条件も含まれており、さらなる大型契約を締結することもできる。
今回の契約は、投手としては史上5番目の大型契約となった。
近年ヤンキースは、大型契約を敬遠してきたとされる。同球団の契約について、本拠地ニューヨークのメディアはどのように報じているのだろうか。
【田中投手獲得に向けたヤンキースの動き】
各紙は、ヤンキースは終始積極的に、田中投手の獲得に向けて活動していたと報じている。ESPNニューヨーク・ドットコムは、ヤンキースは2007年から田中投手に注目しており、2009年のWBCでの活躍を見て、さらに興味を持った、という、ヤンキース・ゼネラルマネージャー(GM)のキャッシュマン氏のコメントを紹介。2013年は、15回も試合を偵察したという。
NYデイリー・ニュース紙も、「何がなんでも獲得したかった。これほどの体制で獲得競争をしたことはない」というヤンキース関係者のコメントを掲載している。ヤンキースは田中投手との交渉に8人体制で臨んだという。
【ヤンキースの変化とは】
昨シーズン苦い経験をしたヤンキースは、チーム改革に着手している。近年、年棒を抑えるために、有力選手を獲得できずにいた。今回、年俸総額を1億8900万ドル以下に抑えて数百万ドルの奢侈税を節約することを諦めた、と複数のメディアが伝えている。既に契約した18人の選手に支払われる総額は、1億9300万ドルにのぼるという。
NYデイリー・ニュース紙は、キャッシュマン氏が、「田中投手は、大金を積んでも獲得するだけの価値のある選手だった。世界最高レベルの才能を獲得するには、巨額の資金が必要だ。」とコメントしたことを掲載。同球団のスカウト陣は、「強いチームをつくるのに、お金をかけないというのは現実的でない」とESPNニューヨーク・ドットコムとのインタビューで述べたという。
複数のメディアは、球団トップのこうした変化が、田中投手との大型契約締結に至ったと分析している。