「田中を見たいのに、新システムのせいで…」米メディアが恨み節

 楽天・田中投手がメジャーに挑戦できるのか、できないのか、移籍をめぐるニュースが、連日国内外のメディアをにぎわせている。米メディアは、日本の報道をすぐさま翻訳して逐一伝えているが、ここに至って楽天が移籍を容認しないとの見方が強まると、これまでの期待ムードが一転諦めムードに変わりつつある。

 ポスティングに参加するとみられていたニューヨーク・ヤンキースも、田中投手がポスティングにかけられないとの前提で、来シーズンの先発ローテーションの編成を組み始めたと伝えられている。

 シーズンが終わって当初は球団もメジャー移籍を容認しており、田中投手は本人の希望通り、今オフで移籍するものとみられていた。しかし、風向きが変わったのは、新しいポスティングシステムが締結されてからだ。

【みんな損する】
 USAトゥデイ紙はこの件に関し、新システムは日本の球団を除いてメジャーリーグの球団、日本人選手にとって利益を生むはずだったが、田中のケースでは失敗に終わる恐れがあり、楽天が田中を保有し続けることになると、新システムのせいで、関係者すべてが損をすることになると指摘している。

 つまり、楽天は、旧システムでは5000万ドル以上と見込まれていた移籍金を受け取ることができなくなり、田中投手は、メジャーリーグでプレーしたいという希望がかなわなくなり、メジャーリーグの球団は、第一線で活躍できる見込みのある投手を獲得できなくなり、さらに、メジャーリーグファンは、田中が強豪打者と対戦するのを見ることができなくなる、ということだ。

 同記事は、識者の「2000万ドル以上の入札がなされる選手はほとんどいない。新システムは田中の移籍を念頭に設定されているように思える」との意見を紹介している。

【代替案?】
 さらに、田中がもし本当にメジャーでのプレーを望むのであれば、メジャー球団との契約金の一部を楽天に譲渡する契約を結んではどうか、楽天が落札したチームにさらなる支払を要求してはどうか、といった別の識者の案を紹介している。

【「ダルビッシュのときは旧システムで良かった」】
 2年前にポスティングシステムでダルビッシュ有選手を獲得したレンジャースのジョン・ダニエルGMは、球団公式サイトで新ポスティングシステムに関し、「公正だと思う。フリーエージェントに似てるが、選手を育成した日本の球団の努力と投資に敬意を払い、見返りもある。選手にとっても選択肢が増える」と回答。

 ただ、2年前に新システムがあれば良かったかと問われたのに対しては、「答えはノーだ。我々には独占的な交渉の権利があったからね。交渉でへまをしなければ、選手を獲得できるものだった」と答えている。

 新システムの是非について、日米メディアで議論は続きそうだ。

Text by NewSphere 編集部