子どもが野菜好きになるゲーム発明 そのしかけとは?

「食べて、噛んで、笑って、敵を撃つ!」実際に食べて笑うことが必要なシューティングゲームが世界で話題を呼んでいる。

 食べ物の種類と咀嚼した回数が「弾丸数」になり、笑うことで弾丸を「装填」し、迫りくる野菜モンスターを撃ちまくる。弾丸がなくなれば、また「食べて、噛んで、笑って」の行為を繰り返す。楽しみながら「偏食」や「好き嫌い」を克服することを目的としたユニークな食育シリアスゲーム「Food Practice Shooter」(FPS)を、複数の海外メディアが取り上げている。

 東京ゲームショウ2013が発端だ。過去最多の33ヵ国、27万人以上が来場した中で、世界の目にとまったようだ。評価も高く、アマチュア部門で特別賞を282作品の中から受賞した。「これまでにない“食育”という教育的分野で新たな可能性を見出した」点などが選定理由とされた。

【Food Practice Shooterって?】
 FPSは神奈川工科大学情報学部助教の小坂氏が開発した一人称視点のシューティングゲーム。また一般的なシューティングゲームではなくシリアスゲームと呼ばれるものである(シリアスゲームとは教育・医療用途を主目的とするゲームを指す)。

「食す、噛む、笑う」の3つの行為にはそれぞれ意味があり、克服したい食べ物(なんでもOK)を食べ、噛むことによって消化を促進する働きがあり、笑うことで「食べることは楽しい」と認識させ、楽しみながら偏食を克服できるよう設計したと小坂氏は述べた。「撃つ」ことでゲーム性を持たせ、ストレス発散させることに狙いがあるようだ。

 小坂氏は、「このゲームを通じ偏食を克服するきっかけづくりを提供し、学校やフードイベントなどで多くの子どもが体験できるようにしたい」とコメントしている。

 なお、FPSは去年から国内で注目を浴びており「Food Practice System」の名称として日経トレンディネットや日本テレビなどで紹介されており、電子工作コンテスト2012でも2つの賞を受賞している。

【海外メディアの反応】
 ワイアードは、「子どもに野菜を食べて楽しむようデザインされたこのゲームは“非常に有意義なものだ”」と述べている。また、食べずに進めることのできないよう設計されている部分にも言及している。

 Joystiqは、「ダイヤモンドの原石」と評価しながらも、「このアイデアは、非常にシンプルではあるが、本当に実行するとなると若干の困難がある。弾丸を増やすため、体にいい食べ物を食べ、咀嚼し続けなければならないためだ」と問題点を指摘している。

Text by NewSphere 編集部