交通渋滞がもたらす莫大な損失 米国では69億時間、日本では50億時間が無駄に

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交通渋滞がもたらす莫大な損失 米国では69億時間、日本では50億時間が無駄に

 交通渋滞は通勤や旅行に不便や苛立ちをもたらすなど我々の生活に度々支障をきたしているが、同時に経済にも打撃を与えている。アメリカと日本の両経済大国にとってもこれは深刻な問題だ。

◆アメリカの経済成長の陰に潜む、交通渋滞による経済的損失
 米国では交通渋滞がもたらす経済的損失は、経済成長と連動して年々増している。米国の都市交通に関するレポート「2015 Urban Mobility Scorecard」によると、2014年に都会に住むアメリカ人は交通渋滞により69億時間も余計に運転し、それに費やされた石油量31億ガロン、余計に消費された時間と石油による経済的損失は1600億米ドルにも上った。

 渋滞を解消させる試みとしては、多様なアプローチが模索されている。例えば、よく使われる高速や線路の許容人数を増やすという対策がある。高速道路などに車線を新たに設けたり、バスや電車の本数や規模を大きくするというものだ。またフレックスタイムなどをうまく活用してラッシュアワーを避けるという方法もある。さらに仕事や買い物をする場所、自宅を一カ所に集中させることによって車に乗らずとも生活できるような街づくりも有力だ。

 こうした交通渋滞解消への模索が続いている間も、経済成長の続くアメリカの交通渋滞は日に日に悪化している。平均的な通勤者が無駄に運転している時間は、1982年が18時間だったのに対して、2014年には42時間にも膨れ上がっている。「Urban Mobility Scorecard」が観測した33年間、リーマンショック時を除いて改善の兆しが見えたことはない。今後も交通渋滞は経済成長の陰で常にアメリカを悩ます存在となるであろう。

◆日本でも渋滞損害は甚大
 日本でも交通渋滞がもたらす経済的被害は甚大だ。平成28年5月に発表された「国土交通省生産性革命プロジェクト」のレポートによると、日本全国で発生した交通渋滞による損失は、年間約50億人時間、約280万人分の労働力と推定されている。

 これまで日本の各地方において渋滞を解消するための様々な対策が行われており、その中には住民の協力を促すものも多いようだ。栃木県では渋滞が発生しやすいエリアを行政側が選定するとともに、住民の渋滞箇所に関するアンケートも行い、データを公開する「渋滞見える化プラン」を実施している。広島県の福山都市圏ではノーマイカーデイが設けられ、住民の主体的な協力のもと交通渋滞を緩和させることが目指されている(国土交通省)。

 しかし、前掲の「国土交通省生産性革命プロジェクト」のレポートによると、日本の渋滞損失は移動時間の約4割であり、欧米の主要都市における渋滞損失が移動時間の約2割であることと比して、損失は大きいようだ。渋滞状況を解消するような高速道路の料金モデルの導入や、1台で大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の導入など、多方面での施作が実施されている。

◆テクノロジーの進歩が渋滞を過去のものに?
 非営利財団の世界経済フォーラムによる記事は、交通事故の全く存在しない理想の世界が実現するかもしれないと報じている。シンガポールの南洋理工大学のコンピュータサイエンティストは知的経路指定判断により交通渋滞を軽減させることのできるアルゴリズムを開発中であり、これにより交通事故のリスクを最小化することができるようだ。彼らの仮定によると、たった10%の車がアルゴリズムにより最適化された経路を走ることによって、交通渋滞に良い影響を与えることができるようだ。

 各国が解決に手を焼いている交通渋滞は、もしかするとテクノロジーの進歩でいつのまにか過去の風景になるのかもしれない。

photo via flickr/Sergey Rodovnichenko, CC BY-SA

(Yota Ozawa)

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