消費増税、見送りか? 追加経済対策か? 4-6月期GDP下方修正で、海外から懸念
8日、内閣府は4-6月期の国内総生産(GDP)が、物価変動の影響を除いた実質で、前期比年率7.1%減だったと発表した。これは8月に公表された速報値(6.8%減)から下方修正されたもので、リーマンショック後の2009年1-3月期(15.0%減)以来の大きな落ち込みとなった。
【内訳は】
需要項目別では、設備投資が5.1%減と、速報(2.5%減)から大幅な引き下げとなった。GDPの約6割を占める個人消費も5.1%減で、速報(5.0%減)より引き下げられた。
今年度の設備投資を10%カットするというホンダや、NTTドコモなどの投資減について、ブルームバーグはとりあげている。
米ニュース専門サイトCNBCは、今回の下方修正について、キャピタル・エコノミクスのマルセル・チリアント氏の見方を紹介している。
チリアント氏によると、全体で見た下方修正の率は小さいが、内訳を詳しく見ると思わしくない。住宅以外の投資が5.1%から2.5%へと大きく修正されている。全体的に見た落ち込み率がひどくないのは単に在庫が増えているからだ、という。
【消費税率引き上げへの影響】
この事態に海外各メディアは、日銀による追加緩和の可能性や、消費税率を予定通り2015年10月に10%に引き上げることに対する懸念に言及している。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は日経による世論調査の結果を紹介しているが、これによると、国民の64%が追加増税に反対だという。
このような世論の不安に呼応する形で、政府も対応策を講じる模様である。
ブルームバーグによると、甘利明経済再生相は5日、年末の消費税引き上げ判断においては何の対策もなく引き上げることはせず、増税の影響を最小限にするために対応すると述べ、景気対策によって再増税の環境整備を行う考えを示した。これについては、約2兆円規模になるだろうという、日本のエコノミストの見方も紹介されている。
またブルームバーグの別記事によると、麻生太郎財務相は5日、消費税率の引き上げを控え、景気の腰折れを回避するための経済対策の可能性について、「補正予算も一つの方法だ」との見方を示した。
CNBCは、日本の問題は成長鈍化ではなく、収益性の悪化だ、というGMTリサーチのロバート・メッド氏の見方を紹介している。同氏は、大型予算による景気活性化に否定的だ。
総じて、消費増税への影響と今後の経済政策に焦点があたっているといえる。
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