消費増税の影響続く日本経済 来年10%へ引き上げるのか、海外メディアも注目
先月29日、総務省は7月の家計調査の結果を発表した。これによると、2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり28万293円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月に比べ5.9%の減少となった。
4月に実施した消費増税の影響による買い控えが続いている。それでも安倍政権が当初の計画通り、来年10月に消費税率を10%に引き上げる決定を行うかに、海外メディアの注目が集まっている。
【政権内部の声】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、記者会見で麻生財務相は、家計調査を踏まえた消費動向について、7月の悪天候の影響もあるとし、「消費増税の反動減は薄らぎつつあると認識をしている」としながらも、「もう少し注意深くみていかなければならない」と語ったという。
ロイターのインタビューに対して、西村康稔内閣府副大臣は、「1年半で5%上げるのは、相当経済にダメージがある」とし、日本経済は好循環に入っていけるか、消費増税の反動減のリスクから成長軌道に戻っていくのか正念場にあると述べた。
またロイターは、安倍首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授に対してインタビューを行っている。その際浜田氏は、消費税率引き上げについて、1%ずつ段階的に引き上げることも選択肢である、との認識を示したという。
甘利明経済財政相は記者会見で、消費税率の再引き上げについて、「ベストシナリオは予定通りに上げることだ」と述べた。
ロイターによると甘利大臣は、増税を先送りする場合には「日本が発行する国債の信認を失墜させないよう」新たな増税時期を決め、それに基づいた財政再建計画を示すことが必要との考えを示したという。
安倍首相本人だが、ロイターによれば、本件に関しては口を閉ざし、第3四半期GDPの結果を見て総合的に判断するとだけ述べているという。
【民意は】
ロイターは日本経済新聞社他が行った世論調査の結果を紹介している。これによると、消費税率を予定通り2015年10月に10%に引き上げることに関して、「反対」が63%で「賛成」の30%を上回ったという。
ロイターによると、個人向け企業の中には、増税反対の立場をとるものもあり、ドンキホーテホールディングスの高橋光夫専務は「再増税は先送りしてもらいたい」と語ったという。
【エコノミストの意見】
ロイターは「増税先送りは利益以上に害をもたらすだろう」という日銀出身のエコノミストである熊野英生氏の見方を伝えている。ロイターの調査によると、国民の意見とは対照的に、民間エコノミスト22人中18人は予定通りの増税に賛成だという。
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