アベノミクス不調で支持率低下? 改革の成否を海外紙も注目
25日、総務省は6月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)を発表した。
値動きの激しい生鮮食品を除く指数は103.4と、前年同月比で3.3%上がったものの、日銀が試算する、消費税率引き上げによるCPIの押し上げ分2%を差し引くと、6月のコアCPIはプラス1.3%となり、プラス幅は5月(プラス1.4%)から縮小した。
日銀が掲げる物価上昇目標2%の達成は依然として疑わしい、と各メディアは報じている。
【安倍内閣の支持率低下 理由はアベノミクス】
フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、「安倍首相への支持率が低下」と題する記事で、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)による世論調査の結果を紹介している。
産経新聞の『アベノミクス評価に大きな陰り 内閣支持率下落の背景』という記事で報じられている世論調査によると、安倍首相の景気・経済対策を「評価しない」とする回答が47%で、「評価する」を7ポイントも上回ったという。
FT紙は日本国民が不満を抱く一番の原因は、アベノミクスで貧乏になったからだと見る。アベノミクスが物価や賃金に及ぼした影響が不公平だったという。
給与はわずかに上がったが、4月の消費増税の影響で、インフレはずっと早いペースで進行した。現金給与総額に物価変動の影響を加味した5月の実質賃金指数は前年同月比で3.8%減となった。
【第3の矢として必要な改革は】
ブルームバーグは、アベノミクスには依然として第3の矢が欠けているとし、それは供給面重視の改革だと述べる。
安倍内閣は6月末に、コーポレートガバナンスの強化や女性の活躍支援等を柱とする新成長戦略を閣議決定したが、ブルームバーグによれば、これらは健全ではあるものの視野が狭く、多岐にわたっていてインパクトに欠けるという。
雇用、移民、税法への正面攻撃が必要であり、例えば目下計画されている内閣改造は、知名度の高い女性を要職につけるような、強力な改革のチャンスだとブルームバーグは述べる。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍政権のインフレへのこだわりは、より差し迫った課題から目を逸らすためだったとし、持続的な成長を目指す政治改革アジェンダに注力した方が良かったと述べる。
その例としてウォール紙は、自由貿易(必要なら一方的にでも)、労働市場の自由化、移民増加策を挙げている。