男女の賃金格差、日本ワースト2位 改善の最後のカギは”女性自身の勇気”と海外メディア報じる
OECD発表による「男性と女性の状況」についての調査によると、ほぼ全ての加盟国で、労働環境における男女格差が根強いことが明らかとなった。
【女性に恨めしい国】
報告書によると、全てのOECD加盟国すべての国で男性より女性のほうが低賃金であるという。特に顕著なのは韓国、日本、ドイツ、スイス、カナダ、アメリカで、いずれの国も男性の平均賃金は女性より20%以上高い。とりわけ韓国と日本はダントツで、韓国は40%に届く勢い、日本も30%をゆうに超えている。
韓国の中央日報はこの調査結果を受け、「女性にとって恨めしい韓国」と報じている。ちなみに調査対象国のうち男女の賃金格差が一番小さいのはハンガリーで、3.9%と韓国の約10分の1だという。
【賃金だけでなく、全ての条件が男性より劣る】
男性より女性のほうが低いのは賃金だけではない。調査対象国ほぼすべての国で、女性の方が雇用そのものが少なく、職種の幅も狭く、出世の壁は熱く、議員の数は少ない。
報告によると、女性議員の数と国の豊かさに関連性は薄いという。アメリカ、アイルランド、フランス、日本など、国は豊かだが女性議員の数は少ない。しかし、女性の雇用率とは明確に関連があるとのことだ。北欧のように女性の雇用率が高い国ほど、議員の数も多い傾向にあるという。
女性の正規雇用が少ない分、逆に多いのがパートタイム労働者だ。女性の4人に1人はパートタイムで、パートタイム雇用全体の4分の3は女性が占めるという。とくに既婚女性にその率が高く、子供を持つと更に高くなるとのことである。
【ウーマノミクスの行方】
厚生労働省は、雇用側へ男女間賃金格差解消のガイドラインを提唱しており、賃金に関する男女格差が違法であることを訴えている。また格差解消の第一歩として、まず企業内での「格差の実態」を把握することが重要としており、雇用管理データを男女別に集計・指標化するためのツール(実態調査票、社内意識調査アンケートなど)も提供している。
また安倍首相は経済成長策のひとつとして、女性の積極的な社会活用、いわゆる「ウーマノミクス」を掲げており、2020年までに企業や政府内の役職者の30%を女性が占めることを目指している。これについて石倉洋子氏(慶應義塾大学教授)は「日本の経済成長にとって役員の多様化は不可欠」と英エコノミスト誌に語っており、安倍首相の取組みは評価できるとする一方、まだまだ従来の改善の域を出ていないのも事実と述べている。
「現状、日本で女性の出世のチャンスは極めて限られており、多くの才能がムダにされている。安倍首相の努力に効果が出れば日本経済にとって非常に有益だが、実現にはもっと革新的な変化が必要。そのための最後のカギは女性が握っている。今こそ女性達自身が従来のルールを破るとき」と石倉氏は語り、女性側から勇気を持って一歩踏み出すことこそが突破口となる、との見解を示した。