“日本株に投資するくらいなら燃やしてしまえ” 海外アナリストから、日本株に悲観楽観飛び交う
昨年57%急騰した日経平均株価が、今年は年初来14%下がっている。昨年日本株に14.7兆円を投入して高騰を支えた外国人投資家らが、手を引き始めているようだ。
【新興市場不安とインフレ減速】
財務省によると、外国人投資家は1月最終週に、ユーロ危機時の2010年6月以来となる、正味7520億円の株売りを行った(52週間続けば39兆円になる計算だ)。フィナンシャル・タイムズ紙は、投資家らが先週、4年ぶりの最速ペースで日本株を投げ捨てたと報じた。
原因として、米FRBの緩和縮小に起因する新興市場不安(に日本が巻き込まれる懸念)と、日本のインフレ減速が挙げられている。日銀は2%のインフレ目標にこだわってきたが、1月22日、黒田日銀総裁は、夏まで約1.25%で横ばいになる見込みだと認めた。ただし同紙は、むしろこれまでインフレが着実に進んできた結果、日銀の追加緩和が期待薄となっていたことも原因に挙げている。
【日本に投資する金があったら燃やした方が時間の節約】
きわめて悲観的なのは、投資ブロガーネットワークのシーキング・アルファに寄稿したCFA協会認定証券アナリスト、チャールズ・L・サイズモア氏だ。同氏は、「日本株が有望な投資だと思うなら証券口座を解約してダッフルバッグに現金残高を引き出し、ガソリンをぶっかけて火を点けるべきだ。日本を投資適格と思うなら、お金を失うのは必然なのだから。よく燃えるダッフルバッグを使えば、いくらか時間の節約になる」と、以前からの主張を繰り返した。
同氏は、短期取引ならばどんな脆弱な資産でも儲けは出せるが、長期となると日本には政府債務と高齢化の問題があると指摘する。2013年には全政府支出の46%が借金で賄われており、債務は膨らむばかりなのに、それを返済できる人口は減り続けているからだ。さらにその国債の利率は異常に低く、10年債利率が「哀れにもわずか」0.6%である。これは日銀が買い支えているからであり、それは円安にもつながっているが、もし予想通り債務危機になれば、円安どころか円は紙クズと化す、とのことである。
【それでも日本を買う動きも根強い】
それでもフィナンシャル・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙は、まだ日本を買う動きも根強いと報じている。4月の消費税増税などが不安要素ではあるが、日本企業の平均利益成長率は、米国の5%に対し45%にもなる。トヨタ自動車や日立製作所などは今年度の収益を記録的と見込んでいる。住宅着工や工業生産高、失業率などの数値も好調だ。バンクオブアメリカ・メリルリンチによる先月の調査では、今後12ヶ月間で日本への重みづけを増やすつもりのファンドが、差し引き12%多いという。