賃金変わらず物価1.3%増 今年の賃上げはあるのか?海外紙も注目

 31日政府発表のデータによると、12月のコア消費者物価(生鮮食品除く)は前年比1.3%増で、2008年10月の1.9%以来の急上昇となった。ブルームバーグの市場予測中央値は1.2%、11月実績も1.2%、2013年全体では0.4%増であった。

 物価以外では、工業生産が前月比1.1%増と発表された。11月は0.1%の減少であった。また求職者あたりの求人数は1.03に上昇して、2007年10月ぶりに1を超えた。

【輸入コスト増が主因だが消費税の影も】
 変動が激しいためコア指標からは除外されている生鮮食品は、1年間で13.6%、特にキャベツが91.7%急騰しているとブルームバーグは報じた。電力コストも8.2%上昇した。エネルギーコストも除く「コアコア」指標では、年間で0.7%増なのに対し、12月は0.3%増にとどまる。

 この間、円は18%下がっている。原発停止で燃料輸入量が増えている上、円安でその価格が一層膨れている形だ。さらに4月からの消費税増税で駆け込み需要が発生しており、企業も輸入コスト増や増税を理由に、こぞって値上げを表明していると報じられている。インフレ傾向自体を理由にした値上げがないのかどうかについては、触れられていないようだ。

【2年で2%の公約はどうか】
 各紙は、昨年の大規模金融緩和から2年で2%インフレさせるという、日銀の公約に触れている。すでにその目標は中間点を超えたことになり、黒田総裁も達成に自信を示しているが、ロイターによるとアナリストらや、さらに国際通貨基金も、ここから先はインフレは鈍化するだろうと懐疑的だ。円安が頭打ちになることや、消費税増税後に消費が冷え込むことが予想されるためだ。

【賃金増が伴わない悪性インフレ】
 ブルームバーグが調査した36エコノミストのうち19人は、各種指標の好調を理由に、日銀は今年上半期のうちは追加緩和を行わないと予想している。しかし同紙は賃金上昇がインフレに追いついていない現状を指摘する。

 専門家らは「今企業には、利益を賃金上昇や設備投資に回す責任があります」と訴え、経済成長、企業増益、賃金上昇、消費拡大という好循環が続くかどうかは、来たる春闘の結果にかかっていると言う。安倍首相は12月、そのような「好循環に可能な限り早く入りたい」と表明し、9月以来5度にわたって経営者や労組らと賃金交渉を重ねている。

Text by NewSphere 編集部