“歩く財布”中国人観光客を呼びこめ! 日本の“おもてなし”、カギは中国語サービス?

 かつてその羽振りの良さから、世界の観光地で「ドル箱」と称されていた日本人観光客。しかし、そのイメージは今や中国人のものとなりつつある。

 2013年、中国人海外旅行者数は9700万人を超え、過去最多を記録した。また旅行先での消費総額も1200億ドル(約12兆円)にのぼり、まさに“歩く財布”として、世界中で最も金を使う観光客となった、と人民網などが報じた。今年度はさらに増え、旅行者数は1億1400万人、消費総額は1400億ドル(約14兆円)を超すと見られている。

【ともかくお金を使う中国人観光客 新興成金“土豪”の出現】
 現在中国では“土豪”と呼ばれる新世代富裕層が現れ、彼らが消費額を押し上げているとみられる。日本観光庁の調査によると、2012年の訪日旅行者の消費総額は約1兆1千万円。うち、4分の1となる2700億円を、大陸からの中国人旅行者が占め、3年連続で1位となった。

 中国新聞網によると、中国人に人気の商品第1位はカメラ・腕時計。特に腕時計は1人あたりの平均購入額は78,536円で、調査対象の14ヶ国中トップ。次いで人気の家電製品も、平均45,892円と高額だ。

 このような状況は日本だけではない。人民網は“中国人観光客が世界の景気を良くする”という記事を掲載。仏誌フィガロの記事を引用した報道によると、2012年上半期、フランスにおける中国人観光客の消費総額は1億2500万ユーロ(約180億円)で、実にアメリカ人観光客の3倍に上ったという。

【訪日旅行者数3分の1は中国・台湾 尖閣ダメージから回復の兆しも】
 昨年、訪日外国人数が、政府が目標としていた1千万人を初めて超えた。そのうち台湾・中国からの旅行者は、約320万人だったと中国新聞網などが伝えた。

 2012年の尖閣諸島国有化問題を機に減少の一途をたどっていた中国人観光客数。日本政府観光局の統計によると、2013年前半も前年比を下回り続けていたが、9月から上昇に転じ、10月は74%、11月は96%前年比増で大幅に回復した。また台湾・香港はそれぞれ年間累計で50%以上増となり、安定した伸び率を見せている。

【鍵は中国語サービスの充実? 買い物を観光の目玉にする取組も】
 一方で中国旅行研究院が発表した、旅行の満足度調査の結果、渡航先別満足度で日本は9位と伸び悩んでいる。調査によると、満足度を左右するポイントは、観光地の美しさやインフラの他に、中国語の標識やスタッフの有無だという。

 こうしたニーズに一早く対応したのが、中国資本となったLAOXだ。中国人スタッフを揃えた免税店にすることで売り上げを伸ばしていった。今後は銀座に最大となる免税店をオープンさせ、さらなる消費を狙っている、と中国新聞網が伝えた。

 また観光庁は、昨年、JTBなどと協賛でショッピングツーリズム協会を設立。ジャパン・ショッピング・フェスティバルなどのイベントを行い、ショッピングで観光立国を目指すべく活動していく予定だという。

 これから旧正月を迎える中華圏。中国人旅行者増加が見込まれるなか、彼らが快適に買い物できるよう、工夫を凝らしたおもてなしが“歩く財布”の心をつかむ鍵となりそうだ。

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Text by NewSphere 編集部