日銀、「2%」目標は達成できるのか? 消費税増税で追加緩和求める声も
19日~20日、今年最後の日銀政策委員会が開かれる。4月の大規模緩和以来、一度も政策変更はなく、今回もそうなる見込みと報じられているが、いつまで現状維持のままでいられるのか。
【融資目標は大幅未達】
大規模緩和によって株価は上がり円は下がった。最新の企業業況感は数年ぶりの明るさであった。しかしフィナンシャル・タイムズ紙は、銀行への融資については13兆円の日銀目標に対して、およそ9兆円に留まっていると指摘する。さらに来年末の目標は18兆円だ。実質金利がマイナスであるにも関わらず、最近の法人向け銀行融資の伸び率は法人預金伸び率の約半分でしかなく、企業の消極姿勢が伺われる。
【インフレ目標は間に合うのか】
そのような状況下で、緩和開始後2年で2%という日銀のインフレ目標も、達成を不安視され始めている。大企業は来年、政府の圧力もあり、基本給を上げる可能性があるが、中小企業にとっては難しく、インフレに寄与するほどかどうかは疑わしいという。
黒田総裁は、8ヵ月間に17回の記者会見と22回の公開演説を通じて、「期限内にインフレ目標を達成できるのだと国民を説得」しようとしてきた。だが佐藤健裕・木内登英・白井さゆり氏といった日銀政策委員の間でもその自信が揺らいでいる、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。今後、政策委員会は票が割れてくると見る専門家もいるという。
【達成できても悪いインフレ?消費税増税の影】
同紙によれば、日銀が唯一アテにできるのが、円安による輸入物価上昇だ。またブルームバーグは、来年の消費税増税の駆け込み需要により、日本の11月の輸入が前年同期比21.1%増で、11月の貿易赤字記録となったことも指摘している。
黒田総裁は、消費税増税のリスクはそう高いものではないと発言し続けているが、ウォール紙の調査した10エコノミストは全員、来年中には追加の金融刺激策が必要になると答えている。またブルームバーグは、その刺激策についても、債券購入増は今後無批判とはいかない可能性があると、佐藤・木内両委員が示唆していることを伝えている。