日銀、アベノミクスの実績に自信 消費税増税を主張
日銀は8日の定例政策委員会で、4月の黒田新体制発足後、5会議連続となる政策据え置きを、全会一致で決めた。黒田東彦日銀総裁はこれまでの実績に自信を見せ、経済回復は充分に堅調であるため、予定通り来春消費税を増税しても問題ないとの従来の主張を繰り返した。
国際通貨基金(IMF)もすでに、国の債務に対する将来不安を払拭するため、消費税増税を断行すべしと提言しているが、安倍政権は増税可否を巡って割れていると報じられている。安倍首相は9月上旬、GDP数値の改訂まで判断を待つとみられている。
【とにかく自信の日銀】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、黒田総裁は「所得の伸びがさらなる支出を誘発する正のメカニズムが機能し始めていることは、疑いありません」と述べ、デフレ打倒の努力と消費税増税が両立可能との考えを示した。
黒田総裁は、中国経済が減速しつつあるとの懸念についても一蹴し、海外の経済情勢によってもたらされる全体的なリスクは「減少しているように見えます」と述べた。
また黒田総裁は、「政治的決意の欠如」が、新規発行国際の70%もの債券購入プログラムを通じて日銀が実質的に政府を救済していると見られる可能性を生むとして、不退転の姿勢を示している。
12日には日本の最新の経済データが公表されるが、同紙は、国内需要と輸出の強さに牽引されて、年率3.6%の成長が見込まれていると報じている。その場合は3四半期連続の成長となる。
また同紙は、9月のGDP改訂ではあまり大きな変更はないとの専門家の見方を伝え、政権が予定通り増税に踏み切る公算が高いとの論調である。
【実体経済と金融経済の乖離】
一方ブルームバーグは、日本経済は実際には好転していないとして、これに真っ向から反対するコラムを掲載した。
コラムでは、日本の賃金水準、物価水準、景況短観、工業生産、消費者物価などが、2008年の金融危機以来大きく変わっていないとのデータを示して、「日本経済の健全性の観点からは少し不可解」「今のところ金融財政活動が成長を後押しする役にはさほど立っていないことを、判っていないのではないか」などと、厳しく批判した。