海外紙は、日本の貿易赤字をどう報じたか?

 財務省が24日公表した2012年の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が6兆9273億円と過去最大の赤字となった。原発停止に伴って火力発電用の液化天然ガス(LNG)など燃料輸入が増加する一方、世界経済の低迷や円高、日中問題で輸出が落ち込んだことが大きな要因であるとされる。

 こうした現状を踏まえ、安倍内閣は「円高で競争力が低下したメーカーを支援し、エネルギーの輸入コスト高騰を回避しなくてはならない。」という姿勢であることをフィナンシャル・タイムズ紙は紹介した。とはいえ専門家は、「円安だけで貿易黒字を回復するのは難しい」とし、今後3年は貿易赤字が続くと予測していることを報じた。また同紙は、政府が円安政策をさらに進めれば、貿易相手国は警戒感を強め、「通貨戦争」につながる懸念もあるとも指摘している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、貿易収支が黒字に戻るかは依然として不透明であり、「輸出は世界経済の基礎的な条件の改善を通じて回復する」旨の専門家コメントを紹介している。
 一方ニューヨーク・タイムズ紙は、今年後半に日本の景気回復が見込めると報じている。中国への日本の輸出量は10.8%転落しているものの、日本車をはじめ対米輸出が活発化しており、アメリカとの貿易は復調している点が好材料として挙げられている。

Text by NewSphere 編集部