外国人エディターが驚いた、日本のあのビジネスエチケット

 2017年1月16日、Business Insiderというデジタルニュースメディアの日本版がローンチされた。ローンチ記念イベントに参加するため来日していたシニアニュースエディターのHarrison Jacobs氏が、ある日本のビジネスエチケットに驚いた体験を記事にしている。それは、「名刺交換」だ。

 氏が活動をする米国でも日本の名刺に相当するビジネスカードは存在するが、ビジネスの場で会う全ての人に渡す習慣はない。記事の中でも、ミレニアルズにとってはスマートフォンによってビジネスカードは廃れていることを指摘している。そんなビジネスエチケットの違いによって、氏は日本人から名刺交換を求められるたび、名前・肩書き・メールアドレス・電話番号を猛烈な勢いで手書きし渡すという対応をしたという。また、日本のビジネスマンにとっては当たり前の、名刺交換の順番や渡し方、受け取り方、受け取ったあとの置き方といった手順が、まるで名刺がその人物の延長であるかのように大切に扱われているように感じられたようだ。

 さて、では名刺交換は日本独特の文化なのだろうか。名刺管理サービスを提供しているSansan社によると、世界では100億枚の名刺が流通しているという。米国では全ての相手と名刺交換をするという文化はないが、キーパーソンとの交換が習慣として存在することも指摘されている。また、学閥・出身企業・立場を重んじる文化の韓国には、日本と近しい名刺交換の文化があり、シンガポールや香港でも名刺交換はビジネスシーンでは必ず行われるという。

 どうやら、自身のプロファイルを一枚の小さな紙に込める名刺というのは多くの国で利用されているが、国や世代によって使われ方に違いがあるようだ。こうした文化の違いを念頭に、海外からビジネスミーティングのために来日する外国人をアテンドする際には「ビジネスカードを持ってくることを忘れずに」と伝えるとよいかもしれない。また、迎える側だとすれば、当たり前のように名刺交換から始めるのでなく、相手の手元と様子を窺いながらコミュニケーションをスタートするのがよいかもしれない。

photo- via PublicDomainPictures.Net | George Hodan

Text by 酒田 宗一