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「ファストファッション時代の終焉」とも…世界的不振の裏に消費者の嫌悪・罪悪感も?

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「ファストファッション時代の終焉」とも…世界的不振の裏に消費者の嫌悪・罪悪感も?

 ユニクロの国内販売の不振が伝えられる中、アメリカからも店舗閉鎖のニュースが入ってきている。近年は海外進出に力を入れてきたユニクロだが、国内事業の収益で海外事業を支えるという戦略が破綻しつつあるのかもしれない。ただ、これは、ユニクロだけの問題ではないようだ。「H&M」(スウェーデン)、「Forever 21」(アメリカ)といった海外の同業者も不振に陥っており、これらの「ファストファッション」自体がピークを過ぎたという論調が米メディアに目立ってきている。

 その理由の一つは、批判の的になっている東南アジアなどの工場の劣悪な労働環境が改善されておらず、「自分たちが着ている服の倫理的な影響を気にする人がどんどん増えている」(エスクァイア誌)からだという指摘もある。また、使い捨てのように大量消費されるファストファッションブランドの安価な服が、大量の廃棄物となって地球環境を圧迫しているという問題も指摘されている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、アメリカから大量に古着を輸入し、アフリカなどに再輸出するインドの工場の様子を伝えている

◆米でも密かに5店舗閉鎖
 ニューヨーク・ポスト紙は、ファストファッションの衰退の象徴的な事例として、ユニクロが今年に入って「米国内で5店舗を密かに閉店した」と伝えている。ユニクロはアメリカで現在44店舗を展開しているが、閉店したのは、いずれも郊外のショッピングモールに3年以内にオープンした店舗。米ユニクロの広報は、「アメリカは我が社にとって大変重要だ。これからは大型店を展開できる大都市に集中する」と郊外からの撤退を示唆している。

 ユニクロは2000年代前半に一度アメリカに進出したが、2005年に撤退。2014年に再進出した。昨年は4店舗を新規にオープン、今年も3店舗開店すると発表している。その裏で5店舗が閉鎖された理由を、米ユニクロは「ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなどの大都市ではユニクロブランドは浸透しているが、郊外ではそうではない」と、都市部にターゲットを絞った再編成の一環だと強調する。しかし、ニューヨーク・ポスト紙をはじめとする米メディアは、拡張路線が限界点に達したと見ているようだ。

 ユニクロを経営するファーストリテイリング社は、国内販売の不振については、2年間にわたる値上げによる客離れだと自ら分析している。ファッション流通コンサルタントの齊藤孝浩氏は、読売新聞に寄せた記事で、値上げをせざるを得なかった理由として、「グループの中長期成長計画の中で、海外ユニクロ事業とグローバルブランド事業を急速に拡大する必要があり、両事業が収益力をつけるまでのしばらくの間、国内ユニクロ事業の利益で同社の収益を支えなければならない」という事情を挙げている。つまり、原材料が高騰する中、海外事業を支えるためにも値上げせざるを得なくなり、それによって国内の客が離れ、結果として海外事業にも暗雲が立ち込めるという悪循環に陥っているということなのだろうか。

◆ファストファッションの終わりの始まり
 米ユニクロは、「店内を限りなくきれいに保つ」「お客様に両手でレシート、クレジットカード、商品を手渡す」といった日本流のサービスで競合他社との差を出していくとしている(ニューヨーク・ポスト)。しかし、米識者らは「そもそもファストファッション自体が限界に達している」と、そうした付け焼き刃的な対策には懐疑的だ。

 エスクァイア誌は「下降しているのは、ユニクロだけではない」と、H&Mが店舗を増やしすぎて“共食い”現象が起きたために昨年の利益幅が落ちたことや、Forever 21が、巨大店舗のチェーンを維持するために多額の融資を申し込んでいることに触れている。同誌は、「ゆったりと構えていたJ.クルーやGapといった“大物”は、低コストで目まぐるしいスピードで流行を展開するH&MやZARAに押されてきた。しかし、ファストファッションの栄光の時代は終わりに近づいているようだ」と記す。

 日本以上に激しいファストファッションブランド同士の過剰競争も、結果として業界全体の衰退を招いているという指摘もある。ユニクロが出た後のショッピングモールにも、アイルランドのライバル『Primark』の米国2店舗目と3店舗目が入る予定だという。「急速に成長してきた同業者たちは、同じ速度で壁にぶつかっているようだ」とニューヨーク・ポストが表現するように、アメリカの消費者はファストファッションそのものに、いささか食傷気味になっているようだ。

◆大量廃棄された衣料品はインドへ送られアフリカへ
「飽きた」だけであればまだ起死回生の策がありそうなものだが、積極的に嫌われているとなれば話は別だ。エスクァイア誌は、低コストを支える東南アジアの工場の「劣悪な労働環境」に対する消費者の批判が強まっていると指摘する。2013年には、バングラデシュで服飾工場が入るビルが崩壊し、1100人以上が死亡するという大事故が起きた。これをきっかけに、H&Mやウォルマート、GAPなどの業界大手が同国の服飾工場の労働環境改善を約束したが、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、「3年経った今も何も変わっていない」という。こうした服飾工場で働くのは貧困層の女性や子供が多い。いわゆる「搾取の構造」が透けて見えるようになったことで、欧米ではファストファッションに身を包むことに罪悪感を持つ層が急増しているという指摘もある。

 また、環境問題の観点から、安い衣料が半ば使い捨てのような扱いになっていることも問題視されている。WSJは、インド西部・クジャラート州のカンドラ港にアメリカから毎日のように大量の古着が届き、リサイクルされている様子をレポートしている。このリサイクル工場で働く人々の多くは伝統的な民族衣装に身を包んだ女性たちだ。その一人は「なぜ、こんなにたくさんの(真新しい)服を捨てるのか理解できません。洗う時間がないのでしょうか?」とWSJにコメントしている。

 インドは新品のファストファッションの生産国でもあり、実は“里帰り”した古着の国内販売を「服飾生産業を圧迫する」として禁じている。そのため、いったんインドのリサイクル工場に集まった古着は、さらにアフリカ諸国などに輸出されるのだ。その約30%がそのまま古着として、残りは裁断・粉砕されて「質の悪い布」に再生され、災害や紛争で家を失った人たちへの支援物資となる毛布などに作り変えられるのだという。H&Mは「我々が使う全ての布地を再利用・リサイクルするのが最終目標だ」とWSJに答えている。しかし、消費者視点では、ファッションの大量消費自体を見直す時期に来ているのではないだろうか。

(内村浩介)

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