ドローン市場は2030年までに1,000億円?農業のIT化から見るドローン

◆人類が産み出したUFO ドローンの可能性とは
 ドローンは無人で遠隔操作をすることができる航空機だ。まるで自分が空を飛んでいるようにドローンを通して、空を泳ぎ、撮影をすることができる。または、軽いものであれば、配達をできるようになる未来も予想されている。そんなドローン市場は2030年までに1,000億円市場になると報道するメディアもある。既に自らドローンを購入して、改造をするようなコアなファンも出てきている。そんな中で、ドローン飛行の危険性を危惧した政府は、住宅密集地でのドローンを禁止する改正航空法を制定した。これからの未来を変える新しいテクノロジーの一つとして数えられたものの、その活躍の場は限られてしまうことになった。そこで、ドローンの活躍フィールドとして意外な領域が注目されている。それは、農業である。

◆農業のIT化から見るドローン
 ITが持つ業務を効率化する仕組みを採用するべき産業として、農業が挙げられ、広範囲での「農業のIT化」が進められている。その規模は2020年までに約600億にも上るといわれている。その例として、農業機械の自動操縦を試みたGPSの利用、農作物を育てる過程での細かいケアを、センサーを用いて完了するセンサー技術がある。あるいは、人間が今まで行っていた作業をロボットが行うような提案もある。では、ドローンは一体何ができるのか。ドローンが活躍するのは、情報のインプットだ。耕作範囲の上空に、ドローンを飛ばし、空撮を行う。この空撮から得られる画像データを分析し、異常検知などを行うのだ。また、同時に農薬の散布といった需要も見込まれる。今まで人間が手作業で行っていたものをドローンが代替するのだ。これらの分野を担っているのは政府でも、大企業でもなく、やはりスタートアップ企業たちである。

◆Reactive 飯沼代表が語る農業のIT化が進んだ社会
 Reactiveでは、このドローンを用いてデータの取得を行い、また機械学習を用いて、どういった農作業が必要かを提案するまでを行うようなサービスを展開している。同社、飯沼代表はドローンや機械学習を用いることで、農業業界だけでなく、社会全体に影響を与えることができると考えている。

「農業のIT化は欧米と比べると、まだまだ改善の余地があります。一度海外で長期過ごしたことがある方なら分かると思います。日本の食事は、とても美味しいのです。これは日本が誇るべき文化です。しかし、農業人口の高齢化が進み、その文化は改革が必要なフェーズとなっています。そこで、私たちはこの領域にドローン技術や、機械学習といった最先端テクノロジーを提案しています。ドローンや最新のIoT製品を積極的に田園へ取り入れ、データの収集・解析を行います。そうすることで、人間が行う作業をより効率的にしていきたいのです」

 農業がIT化することが目的ではない。飯沼代表は踏み込んだ夢を語る。

「若者の選択肢を広げたいと考えています。その上で、農業は大きなキーファクターになりうると考えています。若者は就職をイメージで考えてしまう傾向があります。であるならば、農業の今のイメージを変えればいいと考えています。農業って、ハイテクで面白い分野だということをこれから発信していければいいのです」

 農林水産航空協会がドローンの新安全基準策定に向け、検討を進めるなど、ドローンが農業の一端を担う方向へ動き出している。都会を追い出される形となってしまったドローンが向かった先は、それが広々と動き回れる農作地域である。今後、ドローンの性能向上、政府の規制問題、そしてビジネスの動き方が注目されるドローン業界。これらを見据えながら、ドローンがどのような使われ方を望むのか期待だ。

Text by 山田俊輔