マクドナルド赤字転落 “品質に厳しい日本、回復困難…”海外メディア悲観的
日本マクドナルドホールディングスは、2014年12月期の連結決算で連結純損益が218億円の赤字となっていることを発表した。11年ぶりの赤字で、昨年からの期限切れ鶏肉使用問題や異物混入事件による影響が明らかになった形だ。さまざまな課題に直面する日本マクドナルドだが、ロイターは、食品の品質に敏感なこの国で、すぐに好転が見られることはないだろうというアナリストの予測を示した。
◆黒字から一転して赤字へ
5日に発表された連結決算では、2013年12月期の51億円の黒字から一転して、218億円の純損失を計上したことが明らかになった。売上高も2604億円から14%減の2223億円に。7年連続の下落だ(ロイター)。
また、月次の既存店売上高は12ヶ月連続で下落しており、特に期限切れ鶏肉使用問題が発覚した7月以降は、10%以上の下落が続いている。今年の1月には、前年比38.6%もの下落を見せた(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
◆次々と発覚する問題
日本マクドナルドのスキャンダルは、昨年7月から始まった。中国の上海福喜食品が、日本マクドナルドを含む食関連企業に、意図的に期限切れの鶏肉を販売していることが、中国のメディアによって明らかになったのだ。
その後も、マクドナルド商品への異物混入事件が続く。8月には、人間の歯が大阪で販売されたフライドポテトの中に見つかった。12月には福島で「サンデーチョコレート」からプラスチック片が見つかり、子どもがケガをしている。今年の1月初旬には、青森の店舗で販売されたチキンナゲットに青いビニール片が見つかった。同様のケースは12月に東京でも報告されている(WST)。
さらに追い打ちをかけたのは、アメリカ西海岸での労働紛争だ。港湾部での労働争議で、フライドポテトの原料調達が難しくなり、フライドポテトの販売を限定したり材料を空輸したりせざるを得なかった(ロイター)。
◆食品の品質に敏感な日本ですぐの好転はない
日本マクドナルドCEOのサラ・カサノバ氏は、会見で「お客様に多大なご迷惑とご心配をお掛けした」と深く頭を下げて謝罪。「毎年、数十億の商品を提供しており、食品産業でこういった問題があってはならないことを理解しています。可能なかぎりゼロに近づけるために、できる限りのことを行うのが私たちの責任です」と、顧客の信頼回復への決意を示した。
また日本マクドナルドは、清掃や従業員の教育などを第三者機関に検査してもらう、異物混入の撲滅を目指す取り組みを発表した。
しかしながら、ロイターは「消費者が食品の品質問題に非常に敏感に反応する国で、すぐに好転があるとは見ていない」というアナリストの言葉を伝え、事態がすぐに打開されることはないだろうとの見方を示した。
一方のブルームバーグは、日本マクドナルドの課題を「消費者の懸念に応えること、店舗での問題に対処すること、フランチャイズにサポートを提供することなど」とする、野村証券の繁村京一郎アナリストの言葉を伝えつつ、異物混入問題が起きたことで「集客及び業績の底入れタイミングを見通すのがこれまで以上に難しくなった」とする繁村氏の見解を伝えた。