ルイ・ヴィトン、PSYの韓国事務所に80億投資 韓流パワーでアジア売上挽回目指す
フランスの高級ブランドLVMH(モエ ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) が、韓国の芸能事務所YGエンターテインメント に最大で8,000万ドル(約80億円)を出資する。
LVMHは、YGの発行する優先株式6,000万ドルを取得する予定。さらに、YGの創業者であるヤン・ヒョンソク氏から、同社株2,000万ドル分を取得する見通しである。米音楽情報サイト『Music Times』によると、同社はヤン氏に次ぐ第2位の株主になる。
YGは、「江南スタイル」が世界的にヒットしたラップ歌手PSYを始め、Big Bangや2NE1などのマネジメントを手掛ける韓国の大手事務所だ。
LVMHが韓流に大規模な投資をする背景には、アジア地域で同社製品の売り上げが鈍化していることがある。
【ユーロ高と日本の消費税引上げ】
LVMHの2014年上半期の経常利益は、アナリストの予測を下回り、5%減益の25億8千万ユーロとなった。ユーロ高に加え、4月に日本の消費税率が8%に引上げられた影響、とビジネスウィーク誌は指摘している。
米ニュースサイト『クオーツ』によると、日本におけるLVMHの売り上げは11%減少した。シンガポールとタイにおける売り上げも、マレーシア航空370便の失踪以来、芳しくない。LVMHの主要な顧客である中国さえ、第2四半期には売り上げが減速した。
需要が低迷し始めたアジアの顧客を繋ぎ止めるにはどうすべきか。LVMHの取った戦略は、韓流文化に投資することだった。
【韓流の波に乗って】
LMVHはいいところに目を付けた、と『Music Times』は指摘する。韓国の音楽やドラマは、日本など近隣アジア諸国においても強い影響力がある。長期的に見れば、プロダクト・プレイスメント(映画やテレビにおいて、役者に特定の企業名や商品名を表示させる広告手法)効果に期待が持てる。
LMVHが韓流人気に最もあやかることができる地域は中国であろう。K-Popバンドの中には、中国人をメンバーに加えたり、中国のメディアと提携して売り出すものまである。LMVHは韓流の波に乗って、中国の顧客を必死に獲得しようとしている、と『クオーツ』は伝えている。
【芸能事務所からファッション産業へ進出】
LMVHの出資は、YGにとってもメリットがある。YGは、ファッションや化粧品など、エンターテイメント以外の業界への進出を目指している、と『Music Times』は指摘している。
4月、YGはサムスンと提携し、Nona9onというファッションブランドを立ち上げると発表した。YGに所属しているBig BangのG-Dragonや2NE1のCLは、ファッションリーダーとして、若者たちの間で絶大な人気がある。
YGはLMVHと戦略的パートナーシップについての交渉も行っている、とロイターは伝えている。