シニア層使えるの? Yahoo!エンディングに米紙が疑問
ヤフーは14日、ライフエンディング(人生の最期)に関する新サービス『Yahoo!エンディング』を開始した。供養関連のポータルサイトなどを運営している株式会社鎌倉新書と協力し、「終活」をサポートするサービスだ。
『Yahoo!エンディング』のサービスには、万が一に備えた「生前準備」、オンライン上で葬儀見積もりを確認し手配できる「葬儀手配」、お墓選びのサポートを受けられる「お墓を探す」、その他「相続・遺言」「マナーと知識」の5つのカテゴリーで構成されている。
大手ポータルサイトのヤフーの新サービス『Yahoo!エンディング』に米メディアが注目している。
【「生前準備」サービスの特徴は】
ワシントン・ポスト紙は、ヤフーの広報担当者の、ヤフージャパンの仕事はゆりかごから墓場までインターネットを通じてさまざまなサービスを提供し、社会問題の解決に取り組み続けてきたが、「人生の最期」分野のサービスは含まれていなかったとのコメントを掲載している。
「生前準備」サービスには、自分が亡くなったことを伝えたり、個別にその内容を作成することができる「メッセージ」機能、生前の略歴や訪問者による追悼メッセージが残せる「プロフィール/メモリアルスペース」機能、故人のデータが保存されている「Yahoo!ボックス」内のデータが削除できる機能が用意されている。
今後、そのデータをご遺族に継承できるサービスも提供する予定のようだ。また、「有料サービス課金停止」機能では、Yahoo!ウォレットで課金サービスを利用していた故人の課金を手間掛けず停止手続きができるようだ。これらの機能を利用するユーザーにとって、情報を一元管理できるメリットは大きいと言えそうだ。
【シニア層の情報リテラシーに疑問符】
『Yahoo!エンディング』の利用者(シニア層)に、果たしてどれくらいの人たちに「情報リテラシー」があるのか疑問が残る、とワシントン・ポスト紙は報じている。
世界で最も高齢化が進んでいると言われる日本で、一定のマーケットは見つけることはできるかもしれないと、肯定的に捉えながらも、いったい何人のシニア層がそのサービスを利用することができるのかは不明、と結んでいる。学生時代、パソコンになじみのなかった大半のシニア層にとって、パソコンの操作やインターネットを利用するのは少しハードルが高いのでは、と示唆しているようだ。
新サービス『Yahoo!エンディング』はヤフージャパン以外(他国版ヤフー)で提供するかどうかは今のところ不明のようだ。理由の一つにヤフージャパンの筆頭株主と他国版ヤフーの筆頭株主が違うことや、日本独自の葬儀慣習が挙げられる。
【故人の情報、残すか削除、より困難に】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、故人の情報を取り巻く環境は日本だけでなく世界の他の地域においても、ますます複雑になっている、と報じている。
フェイスブックやツイッタ-などのソーシャルネットワークが複雑に絡み合う現代社会において、クラウド上に残っている故人が残した情報を「残す」か「削除」するかで親や家族が頭を悩ませていると同紙は伝えている。
生きた証を残すか、消すかは人によって考え方が大きく異なるが、個人情報保護法の観点からでも話題を呼びそうである。