LINE上場申請 「不運なタイミング」との海外報道も

 世界で4.8億人が登録するメッセージングアプリ『LINE』を運営するLINE株式会社について、親会社である韓国のネイバー株式会社は、16日、「IPO(新規株式公開)のため東京証券取引所に関係書類を提出した」と金融監督院の電子公示で発表した。

【日米上場へ】
 さらに、ブルームバーグなどは、同社が、米国証券取引委員会(SEC)にニューヨーク市場での上場を申請したと報じている。

 東京で上場する理由としては、LINE社の重役にとって馴染み深い地であり、最も誉れ高く感じられるからだ、との匿名の情報源による見方をロイターが報じている。アメリカで上場する理由としては、現地での知名度を上げ、グローバルブランドとして認知されることを狙っている、とアナリストはみている。

 またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、東京とニューヨークは、ネイバー社が上場しているソウルより投資家の層が厚いため、独立してIPOを行うのだろうと分析する。

 ただ、ネイバーは「LINEが最終的に上場するのか、どの取引所に上場するのか、いつ上場するのかについては決定していない」と説明した。なおこの発表後、ネイバー社の株価は3.4%下落したという。

【LINEの収益性】
 LINEのサービス開始は2011年6月で、現在は17の言語で提供されている。ロイターによると、今年の1~3月の収入は約146億円で、1年で3倍以上に上昇している。昨年1年間での売上は343億円と、ゲームを除くアプリでは最大となった。

 コリア・ヘラルド紙によると、アナリストが注目するのは、スタンプ、絵文字、ゲーム等の販売による高い収益性だ。さらに企業からは、公式アカウントの開設・スポンサードスタンプなどから広告収益をあげている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の見積もりでは、LINEの評価額は160億ドル程度、アクティブ・ユーザー数ベースでは68ドル/人で、フェイスブックが『WhatsApp』(アメリカのメッセージサービス)に支払った42ドル/人を上回る。従ってLINEにプレミアムがつくのも正当といえるそうだ。

【IPOにはタイミングが悪い?】
 ロイターの匿名の情報源によると、LINE社がIPOを発表するのは10月、上場は11月になる。また、東京証券取引所でのIPOは、取引開始に当たっては最低35%の株を流通させる、という条件があるため、流通総額は最低でも3500億~7000億円になると予想している。

 しかし、ロイターは「不運なタイミング」だと報じている。アメリカでは、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が、ソーシャルメディアやバイオテクノロジーの株価が過大評価されていると示唆し、関連株の価格が下がっている。日本でも、大規模なIPO後に、最大で1/3程度まで下落した株がいくつかあることも不安要素のようだ。

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Text by NewSphere 編集部