リニア新幹線はムダ? 完成時には日本の人口1億人割れ…海外紙は計画に疑問
JR東海が主体となる、東京・大阪間のリニア中央新幹線計画は、安倍政権の日本経済活性化政策の一環として、今年末にも議会で承認される見通しだ。一方で、海外メディアは計画に疑問を投げかけた。
【9兆円のリニア新幹線計画】
建設費は9兆円で、完成すれば東京と大阪間を最短67分で結ぶ計画だ。費用はJR東海が負担することになる。同社は、既に過密ダイヤで本数増加が難しい東海道新幹線に代わる交通手段としての意義を強調している。また災害時に東海道新幹線がマヒ状態に陥った際、東京、名古屋、大阪の大動脈を結ぶ代替路線としての役割も重要とする。
完成は2045年で、2027年に東京~名古屋間が開通予定だという。
【人口減少の続く日本での乗客確保】
ウォールストリートジャーナル紙によると、1億2700万人で停滞している日本の人口は、2048年までに9910万人に減少、さらに2060年までに8670万人に減少する見込みだ。BBCは、2013年日本は合計24万4000人を失った、と報じている。戦後ベビーブームを迎え、1970年代の人口急増以降、継続的にどの年代も減少している。2014年には人口の25.1%が65歳以上である。
リニアモーターカー完成予定の2045年には、日本の人口も、主要都市の人口も激減することが予測される。『Quartz』によると、大阪の人口は2025年までに5%減、東京の人口は2020年にピークを迎え2027年までに激減する見込みだ。人口統計学者は、2010年の1316万人から2100年までには46%減少し、総人口が713万人にまで落ち込むと見ている。政府の最新データによると、仕事で東京に来る通勤者の統計もまた、1990年代半ばから減少し続けている。
【海外メディアの反応】
『ビジネスインサイダー』は、乗客数の確保は難しいのではないか、と指摘する。『Quartz』は、莫大なコストもさることながらタイミングが問題だと論じる一方で、公的資金によって建設速度を速める可能性を示唆している。現在、大阪・東京の15歳以上は通学・通勤に平均して週に5時間を使っているという。需要が多いうち、より早い時点で大阪・東京間の距離が短縮されることが期待される。
※本文中「2007年に第一弾が完成予定」は「2027年に東京~名古屋間が開通予定」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(7/10)