トヨタ、来期の純利益減少の見通し リコールだけじゃない…海外紙がその要因を分析

 8日、トヨタ自動車は2014年3月期決算を発表した。円安に加え、年間の販売台数が1000万台を超え、営業利益は前年比74%増の2兆2900億円を計上、過去最高を記録した。また、純利益は同90%増の1兆8200億円となった。

 同時に発表した2015年3月期の業績見通しでは、営業利益が2兆3000億円と2年連続で過去最高を更新すると予想。売上高は前期並みの25兆7000億円を見込むが、純利益は同2.4%減の1兆7800億円になると予測している。

 トヨタの慎重な見方の背景には何があるのだろうか。

【国内販売の落ち込み】
 円安効果が薄れる中、4月に17年ぶりに消費税率が引き上げられた。増税前の駆け込み需要が終わり、トヨタを含め自動車会社は国内需要の記録的な減少に直面している。

 また、トヨタが国内のマーケットシェアを失うのではと懸念する声もある。フォーブス誌によると、ホンダはフィットの最新モデルを発表し、好調な売上を記録している。リモデルされたフィットはトヨタのアクアを抜き、日本で最も売れている車となった。売上の4分の1を占める国内市場でシェアを失うなら、トヨタの長期的な利益に悪影響がでるだろう。

【アメリカにおけるリコール問題】
 ブルームバーグは、トヨタの利益拡大を阻む要因として、リコール問題を挙げている。

 3月、トヨタは、2009年と2010年に1,000万台のリコールを引き起こした、急加速問題に関し、米当局と和解し、1200億円の罰金を支払った。しかし、リコール問題は相変わらず頻発している。

 2月に190万台のプリウス・ハイブリッドがリコールされたのに続き、4月はカムリを含めトヨタの人気車種600万台以上がリコールされた。

【東南アジアの政治不安】
 東南アジアでは、深刻さを増すタイの政治危機と自動車の初回購入者に対する優遇措置の廃止が悪影響を及ぼしている、とブルームバーグは指摘している。2013年3月期、同地域におけるトヨタの売上は33%減となった。

 調査会社LMCオートモーティブはアセアン市場(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)の売上が、2013年の336万台から320万台に減少するだろうと予測している。

 消極的な要因が数々あるが、良い兆候もある。反日運動で緊張した日中関係が徐々に回復している。フォーブス誌によると、2013年、トヨタは中国で917,500台を売り上げ、前年比9.2%増となった。中国政府は汚染問題に対処するために、ハイブリッド車の購入を奨励している。ガソリン電気自動車の世界トップの売り上げを誇るプリウスを持つトヨタにとって、チャンスである。

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Text by NewSphere 編集部