JT業績予想下方修正 国内の逆風だけではない要因“海外たばこ事業”を海外紙分析
人口減少、高齢化、健康意識の高まり、などに伴い国内市場でのたばこの販売数が伸び悩んでいる。また国内市場での海外ブランドとの競合も激化している。海外メディアはJTの業績予想を報じた。
【JTの業績予想】
24日に日本たばこ産業株式会社(JT)が発表したところによると、2014年12月期の営業利益は17%減となる予想だ。事業構造改革に伴う割増退職金、不動産の売却益がなくなることなどが要因とされる。ブルームバーグによると、純利益は今年末の時点で1年前の4436億円から3700億円に減少すると予想している。
JT収益の半分を担うのが、海外たばこ事業だ。ブルームバーグによると、その中心となるロシアではクリミア情勢で国内の緊張が高まり、通貨の減価が不安要素となっている。一方で海外での販売高は2013年4.6%減。国内では前事業年度3.3%の上昇となった。4月14日の調査書で野村証券は、途上国市場の通貨の減価に伴いJTの営業利益予測を12月までの9ヶ月間で2.5%減の5460億円とした。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、今後JTは12月までの事業年度で3700億円の純利益、2兆4300億円の収益を見込んでいる。
【国内事業の構造改革】
JTのホームページによると、たばこ税の値上げや健康意識の高まりによって、2009年は全人口の24.9%だった喫煙者数が2013年には20.9%まで減少した。また人口減少や消費増税によって、国内市場が縮小している。
対策としてJTは昨年10月、国内のたばこ関連4工場の閉鎖を始めとする構造改革を発表した。また本社社員の2割に当たる1600人の早期退職を募るという。同社の小泉光臣社長は、早期退職者の割増退職金に540億円を引き当てること、また不動産利益が470億円減少する見通しを発表した。
【海外企業の戦略】
JTの海外競合にはフィリップ モリス インターナショナル、インペリアル・タバコ、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BATS)など国際的大手たばこ会社がある。投資信託の『モーニングスター』によると、中でもBATSは強いブランド力と価格力で競争上の優位に位置している。
BATSは製品の価格帯と均衡のとれた印象的なブランドイメージを維持している。多くの先進国市場でたばこ製品の禁止を呼び掛けている状況においても、製品の差別化と商標がブランド・アイデンティティーを確立しており、メーカーは製品にプレミア価格をつけることができるという。たばこ製品禁止の広告がかえってマーケットシェアの安定と新規参入者の抑制をもたらしている、と『モーニングスター』は指摘した。
JTの今後の課題としては、現行のシェアをいかに維持するか、また海外たばこ事業のシェアをいかに獲得していくか、ということになる。