4億人爆速突破のLINE、日本人は15% ライバルとの差別化要因に海外紙注目
LINEは、4月1日時点で世界の登録ユーザーが4億人を超えたと発表した。2月には同様のサービスを展開するWhatsAppをフェイスブックが190億ドル(約1兆9500億円)で買収するなど、スマートフォンの普及に伴い、メッセンジャーサービスの世界で熾烈な競争が行われている。
【85%は海外ユーザー】
LINEは2011年、韓国NHN傘下の日本法人NHN Japan(現:LINE)が開発したメッセンジャーサービスだ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、今やユーザーの85%は日本国外だ。アジアのみならず、南米・ヨーロッパでも、現地ユーザーの好みにあったサービスを提供し、知名度を上げているという。
LINEのライバルとして挙げられるのが、フェイスブックに買収されたWhatsAppと、中国のテンセントが運営するWeChatだ。LINEが他のサービスと異なるのは、収益面で一定の成果を見せている点だという。
サービス開始から2年にも関わらず、ラインは昨年518億円を売り上げた。昨年の10-12月期は、約60%がゲーム商品から、約20%はスタンプからの収入となっている。日本ではキャラクター商品の販売も順調で、音楽ストリーミングなどの新サービスも視野に入れ、幅広いサービスでビジネスを成長させている。
これに対し、WhatsAppの2013年の売り上げは2000万ドル(約20億円)。創業者は「広告、ゲーム、仕掛けは一切なし」という信条で、メッセージングと通話にフォーカスしたのだという。
またユーザーが中国に偏っているWeChatは、2013年の第4四半期の売り上げが3200万ドル~4800万ドル(約33~49億円)と推定されている(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
【アメリカで受け入れられるか?】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、LINEのアメリカ進出に注目している。アメリカのような国は優先的、という同社の出澤剛取締役COOのコメントを紹介した。
同紙は、「アメリカのユーザーは機能性を求め付加サービスを好まない」とするアナリストの意見を紹介。多様なサービスで収益を上げることと、進出先の好みに合わせサービスを変えるというLINEのアプローチが、アメリカで試されることになると述べている。
一方、投資情報サイト『Motley Fool』は、メッセンジャーサービスは、最も人気の高いものへすぐにユーザーが流れて行く業界と指摘。WhatsAppのユーザーがLINEに流れれば、フェイスブックにとっては、高価な買い物が完全なリスクに変わる危険性もあるとし、アメリカでの競争の厳しさを示唆している。
【成功のカギは世代】
デジタルマーケットに詳しいダンカン・クラーク氏は、フォーブスに寄稿し、現在のメッセンジャーサービスは、テンセントの社長の言葉を借りれば、「未開の地を求め皆が殺到している状態」と説明する。
同氏は、勝敗を分けるのは地理的な要因ではなく、世代的要因だと言う。特にアジアは多くの若年層を抱えるため、WhatsAppのような「広告、ゲーム、仕掛けなし」より、「広告!ゲーム!スタンプ!(さらにその他の仕掛けあり)!」が、むしろ勝利の方程式ではないか、と述べている。