ユニクロ豪進出 日本より高い価格帯 “海外と日本ではブランドイメージ異なる”とネットで議論

 ファーストリテイリングは16日、オーストラリア第1号店となる「ユニクロ」をメルボルンに開店した。

 オープンを前に、柳内正会長は「オーストラリアには2000万人の市場がある。20万人あたり1店として、100店鋪は出せると考えている。そのうち50店を今後3年以内に出したい。実現すれば非常に嬉しい」と語った。

 またユニクロのほかにも、同社が展開するGU、セオリー、コントワー・デ・コトニエ、プリンセスタム・タム、J Brandについてもオーストラリア出店への意欲を見せた。

【世界に羽ばたく”ユニクロ式”】
 現地メルボルンの新聞『ジ・エイジ』によると、オーストラリアはここ3年ほど、ZARA、Topshop、H&Mなど巨大アパレルメーカーの新たな開拓地として出店が相次いでいるという。そんな中、柳井氏は他との差別化について「他のファストファッションブランドは消費の早い流行物を扱っているので、つねに商品ラインが変わる。うちは逆に、安定したベーシックなラインナップ。かつ仕入れを大口にすることで高品質な資材を望ましい値段で入手できるよう努めている」と語っていると同紙は伝える。

 また同紙は「ユニクロの流儀」についても報じている。ユニクロではジーンズのたたみかたから会計時のスピード(1回につき60秒以内)まですべてが厳重にチェックされる、と同紙は伝える。

 また理念として掲げる顧客満足主義についても徹底した姿勢を貫いているという。「まず顧客サービスがあって、さらに”日本式の”顧客サービスがある。1年前に現地スタッフを採用して、我々が求めるレベルになるまで、まる1年かけて教育した」と柳井氏は語っている。

【日本より高価格帯に】
 オーストラリアの新聞『オーストラリアン』によると、こちらのユニクロでは日本より価格が高くなるという。

 同紙が伝える柳井氏の発言によると「関税が30%もかかる上に、人件費は日本の2倍で、店鋪家賃は世界一高い。そのためどうしても日本と同じ値段をつけることができなかった。それでもなんとか”ほんの少し高いだけ”にとどまるよう尽力している。できれば同じ値段にしたいが、正直非常に難しい」とのことである。

 また日本とオーストラリアの間で今月結ばれた貿易協定についても、同様の協定がユニクロの生産拠点であるアジア各国とも結ばれない限り価格に反映することはほぼできないだろうと柳井氏は語っているとのことである。

【日本でユニクロの立ち位置って?】
 大手ソーシャルニュースサイト『レディット」では「日本でユニクロはどういうポジションのブランドなのか」について意見が交わされている。

 多数派の意見をまとめると、日本のユニクロは「高品質の普段着を手頃な価格で買える」反面「おしゃれ着ではなく、デートや職場には向かない」という見方が強いようだ。

 またユニクロを他ブランドに例えるとどのあたりに相当するかという議論では「GAPよりは安い。GAPはなぜか日本では高級品」、「オールドネイビーが同等だと思う」、「来日時マーク&スペンサーと同等の店はどこかって友達に聞いたらユニクロって教わった」、「イギリス人ならプライマークの日本版と思ってもらえばいいかな」等の意見が見られた。

 同時に、ブランドは海外に出店すると母国とは扱われ方が変わる、という興味深い議論も交わされている。ある者は「アメリカではユニクロを着ていると褒められたのに、日本では誰も何とも思ってくれない」と言い、またある者は逆に「日本のGAPでは当地限定の良い服が売っていたのに、アメリカに帰ったら高校生が着るようなものしか扱っていない」と述べている。

 この新天地で柳井氏は、オーストラリアのゴルフ選手アダム・スコットを広告に起用しているインナーウエアの「エアリズム」シリーズがヒットすると見込んでいるようだが、日本より価格が高くなるというだけに、もしかするとこれも比較的「高級な下着」と見なされるのだろうか。

一勝九敗 (柳井正) [amazon]

Text by NewSphere 編集部