米ユニクロに“サイズが合わない”との苦情も 世界一への鍵はアメリカにありと海外メディア注目

 ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングは、6年以内に世界トップの小売業になることを目指している。ユニクロが、世界市場進出のカギと見るアメリカ市場での事業拡大を、海外メディアはどう見ているか。

【アメリカにおける経緯と展望】
 米ファッションサイト『RACKED』によると、ユニクロは2005年に最初の店舗をニュージャージー州の3ヶ所のショッピングモール内にオープン。それらは2年後には閉店したが、2006年には、知名度を上げるためにニューヨークのソーホーに旗艦店をオープン。

 すでに世界14ヶ国に1300店を展開するファーストリテイリングは、フィフスアベニューの最重要店舗を含む17店舗をアメリカで展開している。今後、年間20~30店舗のペースでオープンを予定し、数年のうちに100店舗を目指している。

 米ファクトセット・リサーチ・システムズによると、アメリカでの売り上げは2006年の29億ドル(3000億円弱)から、7年後の2013年には75億ドル(7600億円)にまで増加している。

 ユニクロの最高マーケティング責任者である永井弘氏は、「ショッピングモール内の店舗という発想から戦略を180度転換して、最高の店舗に相応しい最高のロケーションを探した。最高の立地にある主要3店舗から事業を拡大していく」と『RACKED』に語っている。

【ユニクロの事業拡大の戦略】
 『RACKED』は、ユニクロは訓練された店員、天井まである棚、色でコーディネートされた商品、買い物のツールとして店内に設置される様々なテクノロジー等で、競合する他ブランドとの買い物環境の差別化を図っていると指摘している。

 ユニクロUSAのラリー・マイヤーCEOは同サイトに、「衣類だけではなく、店内のテクノロジーにも力を入れている。モニターで企業理念を紹介するなど、我々の商品がどういうものであるか説明することに時間と費用をかけている」と説明する。消費者に説明することは効果的だという。

 また、GAPやOld Navyがアメリカのどこにでもあるのに対し、ユニクロは都市部で固定客をつけることに重点を置いているという。都市で人気が出ればあとは自然に広がっていくという考えのもと、今年はフィラデルフィア、ボストン、ロサンゼルスにオープン予定だ。

 マイヤーCEOは自社をファストファッションに分類することを拒否する。流行を追い求めるばかりでなく独特な商品を提供しているためだ。「シンプルで機能的なファッションというのが我々のブランド。着心地が良く、高品質で低価格。Zaraはヨーロッパのファッション、H&Mは流行最先端、ユニクロはユニークさが特徴」と話す。

【アメリカ市場における課題】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ユニクロはアメリカ市場進出においてより幅広い体型や好みに対応するためサイズを増やした。設計センターをニューヨークに拡大し、アメリカ好みの洋服製作を計画しているという。

 一方で、最近はサイズに関する苦情が絶えないという。ソーホー店で買い物していた大学生は、「実際に合うように作られていない。いろいろなサイズを試したけれど、合うものがない」と『RACKED』にコメントしている。

 小売幹部のリクルート会社Berglass+Associatesのバーグラス社長は、「アメリカでは幅広い消費者に対応するために調整が必要」と指摘した。「ほとんどの小売業にとって、買い物スタイルやサイズの違いは課題で、ユニクロはもっとアメリカ市場を理解する必要がある」と語る。問題に対し永井氏は、ユニクロが現在解決に向けて取り組んでいると話す。「アジアやヨーロッパとは異なるスペックを模索中」だという。

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Text by NewSphere 編集部