中国のミルク需要増で、欧米企業の輸出好調 その背景とは?

 米農務省によると、2014年、アメリカにおいて農家の収入が21%低下する中、酪農家は28%増が見込まれるという。

 また、海外需要が販売高を7%押し上げ、431億ドルの記録に達すると見込んでいる。

【中国のミルク不足が原因】
 アメリカの酪農家の好調は、中国のミルク不足が原因と海外各紙は報じている。

 中国では中産階級の所得が増加。また、プロテイン人気が牛乳需要を押し上げ、外国供給に頼らざるを得ない状況だという。

 中国は世界トップの乳製品輸入国で、昨年の乳製品市場は400億ドルだという。2008年に添加剤が混入した牛乳を飲んだ子供が少なくとも6人死亡、30万人が健康被害を訴えるというスキャンダル後、中国の親たちは国産の牛乳に懸念を抱いている。

 中国では子供に粉ミルクを与えるのが一般的で、オーストラリアのザ・オーストラリアン紙によると、都会の母親の授乳は16%以下だという。

【外国生産者が中国に着目】
 そのため外国生産者が中国消費者にプレミアム価格で販売する機会を得たとロサンゼルス・タイムズ紙は報じている。ドイツ、ニュージーランド、フランスに加え、アメリカの生産がふえており、中国への輸出は昨年7億600万ドルに成長。2009年は1億3700万ドルだったという。

 ロサンゼルス・タイムズ紙は、ネバダ州では輸出専用の粉ミルクを製造する新工場ができたと報じている。

 オーストラリアのザ・オーストラリアン紙は、ニュージーランドのフォンテラ、ヨーロッパのアルラ、アメリカのデイリー・ファーマーズ・オブ・アメリカなど海外大手乳業メーカーの合併により衰退したオーストラリアの酪農市場が、中国の粉ミルク需要によって復活できるか考察している。

【アメリカ国内の需要は縮小】
 アメリカの国内生産は、干ばつで水不足や飼料コストが上昇するカリフォルニア州で予想外に上昇している、とブルームバーグは指摘。

 輸出増の一方で、アメリカ国内の需要は縮小しているという。米農務省によると、アメリカの1人当たりの牛乳消費は、1975年以来25%ダウンしており、少なくとも過去40年間、減少の一途をたどっているという。

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Text by NewSphere 編集部