サイバーダイン上場 業績より“不吉な社名”に海外紙注目

 筑波大学発のロボットベンチャー「サイバーダイン」が26日、東証マザーズに株式上場した。

 取引開始直後から買い注文が殺到。初値は公開価格3700円の2倍以上となり、一時はストップ高の1万10円まで上昇、9600円で取引を終えた。

 ただ、上場翌日の27日の株価は、ストップ安となった。値幅制限いっぱいの1500円値下がりし、8100円まで下げた。

 同社の主力商品であるロボットスーツ「HAL」は高齢者の脚力をアシスト、医療・介護の分野で利用が拡大しつつある。

【高い初値は、人気映画に登場する不吉な企業名に起因?】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、同社が、映画「ターミネーター」で、人類の敵となる人工知能システム・スカイネットを生み出した企業と同名であることに注目。公開価格の2倍以上の初値は、恐らくこの不吉な響きのおかげだろう、と報じた。

 同紙はまた、アメリカの金利上昇、日本の増税、中国の景気減速傾向の中、同社の人気は新規公開市場に安堵をもたらしたと報じた。今後はトヨタや安川電機のほか、米エクソ・バイオニクスなど海外ライバルなどの大企業との競争に直面すると指摘した。

 ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は、今年日本で新規上場した企業のうち、初日としてはエンバイオ・ホールディングスに次いで2番目に高い伸びを記録したと報じた。

【HALスーツの軍事転用を防ぐため、議決権の約9割を社長が保有】
 サイバーダインは、筑波大学大学院教授でもある山海嘉之社長が、自身の研究結果普及のため、2004年に創業した。

 同氏は日経に対し、HALスーツの軍事転用を防ぐため、上場株の10倍の議決権を持つ種類株を設定し、上場後も議決権の約88%を保有すると語ったという。さらに、今後はHALスーツを世界的に拡大するため、投資を続ける意向も示している。

 また、福島原発の処理用として、重さを感じずに放射線防御服が着られる脳波制御のロボットスーツも製造している、とAFPは報じている。

【日本企業は高齢者用商品に着目】
 世界的に高齢化や医療費の上昇が進む中、欧米や日本の企業間で医療・介護向けの人工スーツやロボット機器の開発競争が行われている。

 日本では65歳以上の人口は現在25%で、2060年までに40%を占める見込み。そのため日本の企業は高齢者用商品に投資している、とブルームバーグ・ビジネスウィーク誌は報じている。

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Text by NewSphere 編集部