トヨタ、「急加速」問題めぐり1200億円を支払いへ 過去最大の罰金額、他社も影響懸念か

 アメリカ司法省は19日、5年前に発生した「意図しない急加速」問題にからむリコール処理をめぐり、トヨタが同省に対して12億ドルの和解金を支払うと発表した。

【意図しない急加速問題とは】
 2009年8月サンディエゴで、高速パトロール隊員とその家族の乗ったレクサスのアクセルペダルが戻らなくなり死亡する事故が発生した。トヨタはフロアマットの不良のためアクセルペダルが引っ掛かる不具合と説明、リコールを実施しフロアマットの取り外しを呼びかけた。

 ところが実際には、アクセルペダル自体が動かなくなるケースも起きていたという。これを知りながらトヨタは、既定のスケジュールによるデザイン変更まで従来のアクセルペダルを装着し続けていた。

 トヨタは司法当局と連邦議会による取り調べを受け、民事訴訟も多数提起された。2012年には、リコール問題の影響で車の価値が下落したとして損害賠償などを求められた集団訴訟で、トヨタは総額11億ドルの支払いで和解したとフィナンシャル・タイムズ紙は述べる。

【トヨタが認めた罪と処分】
 トヨタは「十分な情報を公開しなかったことでアメリカの消費者の間に誤解を招いた」と認めた。司法当局はトヨタを刑事訴追したが、トヨタが安全性対策の見直しに向けた独立監査を実施し、合意された条件を順守すれば、刑事訴追を取り下げることで合意したという。

 ロイターによれば、この独立監査人はアメリカ政府が選出、費用はトヨタが負担し、従業員からの匿名による内部告発をフリーダイヤルで受けるという。プリート・バハララ検事は記者会見で、「トヨタは実質的に3年間の保護観察下に置かれる」と述べた。

【GM問題への影響】
 各メディアは、本件がGMによる同様のリコール問題に及ぼす影響について述べている。ロイターによれば、先月GMはイグニッション・スイッチの故障で、約162万台のリコールを発表した。GMがこの不具合に気付いたのは13年前で、13人が死亡しているという。エリック・ホルダー法務長官も「本件解決が将来のケースの模範になれば」と語ったと言う。

 エコノミスト誌はGMがトヨタを見習っているとの見方を述べる。GMは18日、安全担当副社長職を新設すると発表したが、これは「意図しない急加速」問題後にトヨタがやったのと同じであり、メアリー・バーラCEOが問題調査で陣頭指揮をとるのも、豊田章男社長と同じだという。

 トヨタの支払う12億ドルという和解金額は、自動車メーカーがアメリカ当局に支払う額としては過去最大であると各メディアは伝える。フィナンシャル・タイムズ紙は、この罰金額も今後の基準になるだろうと見る。

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Text by NewSphere 編集部