ユニクロ、J.クルー買収断念か? 世界一に向け、交渉再開を示唆する声も海外報道
ユニクロを展開するファーストリテイリングが、米ファッションブランド「J.クルー」の買収交渉から撤退した、と複数の海外メディアが報じている。
J.クルーは2011年、投資ファンドのTPGキャピタルとレナード・グリーン・パートナーズ(LGP)の2社が28億ドルで買収し、非公開化した。両社は今年中に株式公開(IPO)を計画していると伝えられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、TPGキャピタルやLGPなどの非公開投資会社(PEファーム)は大抵の場合、IPO計画を進めると同時に、並行して売却先を探すやり方をとるという。
なお各紙によると、ファーストリテイリングとJ.クルーの2社からコメントは得られておらず、PEファームもコメントを控えているという。
【売上490億ドルを目指すには、J.クルーの買収が必須?】
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、2020年までに売上高5兆円という非常に高い目標を掲げている。達成できれば、「ZARA」や「H&M」を抜き、世界トップのアパレル企業となる。
ファーストリテイリングの昨年8月期の売上高は、日本のアパレル企業として初となる1兆円を超えた。世界で1兆円を超えているのは、業界1位のZARA(スペイン 約1兆9,280億円)、2位のH&M(スウェーデン 約1兆7,520億円)、3位のGAP(アメリカ 1兆5,250億円)。ファーストリテイリングは現在、世界で業界4番手に付けている。
ユニクロはアジアを中心に海外展開を進めており、今後はアメリカ展開を加速する予定だ。昨年11月現在、アメリカに17ある店舗数を年間20~30店ペースでオープンし、数年で100店舗を目指す。売上高を現在の4倍にするにはJ.クルーの買収は重要なカギを握る。
【J.クルーは値が張るがドレクスラー氏はプライスレス】
J.クルーはアメリカの大手アパレル企業で、レディースやメンズ、キッズ服やアクセサリーと幅広く展開しているカジュアル系高級ブランドとして知られている。現CEOはGAPを世界的なブランドに押し上げたミラード・ドレクスラー氏だ。フォーブス誌は彼を大きく取り上げ紹介している。
ドレクスラー氏による、GAPの改革は有名だ。同氏は、若者が求めているものをいち早くキャッチし、リーバイスの販売店にすぎなかったGAPをパイオニア的アパレル企業まで成長させた。94年に「オールドネイビー」を立ち上げ、「安さ」を売りにGAPの廉価版として店舗展開した。また「バナナリパブリック」を買収し、ブランドイメージを転換し成功を収めて150億ドルの企業まで成長させた。
J.クルーに関しても、デザインと品質を改め、成功へと導いた。2月現在、世界各国に330店舗と121の工場直販店舗を有しており、カタログ販売やEコマース(日本を含めた100ヶ国以上)を展開している。
フォーブス誌は、J.クルーは値が張るがドレクスラー氏はプライスレスだと紹介しており、アメリカで「最高の商人」に近づく手段のため、柳井社長は交渉を前進させるべきだと述べている。
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