ソフトバンクがLINE株取得? LINE側は否定も海外紙が分析するメリットとは?

 25日、国内第3の携帯電話会社大手ソフトバンクが、韓国検索サイト最大手ネイバーの日本子会社であるLINE株式会社の株と取得しようとしていると、米ブルームバーグは報じた。この報道によって、ソウル株式市場でネイバーの株価は過去4カ月間で最高となる、前日比7.5%で終了した。またソフトバンクの株価は東京株式市場で4.1%上昇した。海外メディアは、ソフトバンクのLINE株価取得の可能性と影響を論じた。

【LINE側は情報を否定】
 東京に本社を置くLINEは、約3億4000万人の利用者を持っている。今月同社は、ゲームやスタンプ販売による昨年売上高は343億円と発表した。BNPバリパによると、企業価値は最大149億ドル(約1兆5300億円)ほどにもなる。ブルームバーグは、LINEはこれまでに会社全体または部分的買収提案を少なくとも1件は受けており、新規株式公開(IPO)の準備を遅らせている、という匿名関係者の話を報じた。

 ソフトバンク創業者である孫正義氏が、すでにLINE側と株価取得について話し合ったという情報に対して、LINE、ネイバーともに否定している。ネイバーの広報担当者は、ソフトバンクから投資提案は受けていないと話した。またLINEの広報担当、林史子氏は「事実ではない」とし詳細を語らなかったという。ソフトバンク側は、広報の倉野充裕氏が「憶測にはコメントしない」と述べた。

【ソフトバンクがLINE株価取得による両社の利益】
 東洋証券アナリストはロイターに、どの通信事業者同士の提携も不思議ではなく、今月楽天が9億ドルでパソコン向けのインターネット電話やテキストメッセージサービスを提供しているバイバー・メディアを買収したことによって、国内市場での株価上昇につなげたことを指摘した。「ソフトバンクとの取引で携帯電話サービスとメッセンジャーの基盤を結合させることによって、相乗効果をもたらすのではないか」と話す。同社が積極的に進出している米市場へのLINEの進出も容易になると見ている。

 時価総額国内第2位のソフトバンクは、米携帯電話大手スプリントの株80%を216億ドルで取得、T-mobile USの取得にも意欲的で、米市場への積極的な進出を図っている。マッコーリー証券アナリストのデビット・ギブソン氏は、今回ソフトバンクが株価を取得するとしても、小規模な出資になるのではないかと予測している。「10%ほどの株を買い、IPOを勧めるのでは」と話す。

 また米証券会社キャンター・フィッツジェラルド香港支局のアナリストは、従来の通話サービスが減りつつあるとした上で、「ソフトバンクがLINEの株を取得すれば、アクセス量を維持しながらゲームを始めとするコンテンツ事業で収益を上げることができる」とブルームバーグに語った。年内に東京または海外でのIPOを目指しているLINEにとっては、ソフトバンクのような知名度の高い企業の後押しは上場意欲を高めると、ロイターは指摘する。

【ネイバー株は買い時】
 ブルームバーグは、「LINEの強みは利用者の多さ」であると指摘する、岩井コスモホールディングスのアナリストの見解を報じている。ソフトバンクがLINEと提携すれば、利用者はさらに増えるだろうと話す。またインドやラテンアメリカでの利用者が順調に増加すれば、2014年末までにはユーザー基盤が5億2500万人にまで上昇する、とBNPパリバのアナリスト、ジャスティン・リー氏は見ている。1年後には149億ドルの評価額を予想する。ネイバーはまさに買い時だと言う。

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Text by NewSphere 編集部