日本車メーカー、円安でも米国生産「過去最高」の理由とは? 海外紙が背景を分析
昨年のアメリカでの生産台数で、ホンダのアコードがトヨタ自動車のカムリを上回った。ホンダは2013年、オハイオ州メアリズビル工場で、アコードを前年比17%増の46万6695台生産した。これに対して、トヨタはケンタッキー州ジョージタウン工場、および同社が提携する富士重工業のインディアナ州工場で、カムリを計44万5973台生産した。
【販売台数ではどうだったか?】
ただし、アメリカでの昨年の販売台数では、カムリがアコードを上回っている。アコードの生産台数は販売台数より10万台多かったのだ。実は、ホンダは中型車の輸出を増やしたのだとブルームバーグは報じている。ホンダノースアメリカの広報担当者も「輸出が顕著に増加した」と認めている。販売を上回る生産分は、韓国、ロシア、サウジアラビアに輸出されたという。
【円安なのに現地生産拡大?】
ブルームバーグによると、2011年にドルに対して急伸した円は、その後2012年に11%、2013年に17.6%値を下げている。2年連続で円安が続いているのに、日本の3大メーカーであるトヨタ、ホンダ、日産は北米での生産を増やしているのだ。
これは、貿易による儲けを吹き飛ばしてしまう通貨価値の変動に対する防衛措置であり、また、海外調達部品に対する過度の依存を避けるためだとメディアは報じる。ブルームバーグによれば、2011年にアジアを襲った自然災害の影響で、多くの部品メーカーで製造が止まり、この結果北米での各社の生産が数週間滞ったという。「大手メーカーは、コストを安定させられるような長期サイクルを知る必要がある」と、IHSオートモーティブのコンサルタントは語る。「通貨価値変動の影響を排除するため、同じ場所で製造と販売を行うのは理にかなっている」。
トヨタは昨年、トヨタおよびレクサス・ブランドの乗用車とライトトラック186万台をアメリカ、カナダ、メキシコで生産した。同社はSUVのハイランダーを増産するために、インディアナ州プリンストンの工場を拡大しており、来年にはケンタッキー州ジョージタウン工場でのレクサスESセダンの生産も開始する。
一方、ホンダは昨年、ホンダおよびアキュラ・ブランド車を178万台北米で生産した。ホンダはフィット・ハッチバックを生産するため、メキシコのセラヤで新工場を稼働させようとしており、また2015年にはアキュラNSXスーパーカーをメアリズビルで生産開始する予定だ。