ソニーのゲームがあらゆるデバイスで遊べる「PlayStation Now」発表 海外ユーザー“もうゲーム機はいらない?”

 ソニーは、ラスベガスで開催されている世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」(CES)において、現地時間1月7日、アメリカ国内が対象の新しいクラウドサービスの計画を発表した。一つは、TV番組、映画、スポーツ中継などの動画を、「プレイステーション 4」(PS4)や「プレイステーション 3」(PS3)、および同社製のTVで視聴可能にする配信サービスである。そしてもう一つは、PS3など旧機種向けゲームを、ストリーミングによってPS4やPS3、タブレット端末、同社製TVなど、さまざまな機器でプレイ可能にする「PlayStation Now」(PS Now)だ。

【ソニーがネットでTV局に?】
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の8日の発表では、PS4の販売台数は、2013年12月28日時点で、全世界で420万台を超えたという。USAトゥデイ紙は、アメリカでは発売後2週間で210万台が飛ぶように売れた、と報じている。

 SCEのアンドリュー・ハウス社長が、フィナンシャル・タイムズ紙に語ったところによると、アメリカの家庭には7000万台もの、インターネットに接続可能なソニー製品があり、そのうち2500万台がPS3だという。「出発点としては、良い基盤をもっていると、わたしたちは考えています」

 オンデマンドによる動画配信では、ソニーはすでに“Video Unlimited”というサービスを、アメリカ国内では2010年より開始している。今回の計画がそれと異なるのは、放映中のTV番組も「生で」配信するという点だ。計画を実現する鍵となるのは、肝心の番組コンテンツを提供する企業との共同である。ハウス社長は、この問題に関して「相当程度の自信」を持っているという。先のオンデマンド配信事業を通じて、すでに多くの大手企業と協力関係を結んでいる、というのがその理由だ。それでもなお「合意に達するためには、まだ多くの話し合いが必要」と認めているとのことだ。

 このサービスは、2014年秋に試験運用を開始する予定であると報じられている。

【いつでもどこでもPlayStationのゲームが楽しめる?】
 ゲーム・ストリーミングサービス「PlayStation Now」も大きな注目を集めた。PS4は基本設計においてPS3と大きく異なるため、旧機種向けのゲームがそのまま動かない。このサービスはその欠点を帳消しにするものであり、その上、PS4だけでなく、スマートフォンやTVなど、さまざまな機器でプレイできるのが大きな特徴である。CESの会場では、ソニーの液晶TV・BRAVIAでPS3のゲームを来場者にプレイしてもらうデモが行われていた、とUSAトゥデイ紙は伝える。

 ソニーは、2012年6月に、アメリカのゲーム・ストリーミングサービス大手のGaikaiを3億8千万ドルで買収している。

 ユーザーは特定のゲームをレンタルしたり、いろいろなゲームをたくさん試せるプランに加入できる予定だ、とハウス社長が述べたと報じられている。1月末にベータテストを開始し、本サービスの開始は2014年後半を計画しているという。

 PS Nowについて、アメリカのゲーマーたちがEngadget(米国版)にさまざまなコメントを寄せている。

・ネットによる遅延が心配。ちゃんと格闘ゲームや音楽ゲームができるのかな?
・PlayStation Plusとか、Netflix(動画配信)とか、Spotify(音楽配信)にMusic Unlimited、Xbox MusicにXbox Live……とにかく加入サービスが多すぎ!
・もしこれがヒットするんだったら、ソニーはゲーム機を作るのをやめて、ストリーミング専用機を作ったらいいじゃない
・最近のゲーム機って、ハードを売っても利益はほとんどなくて、ゲームソフトや周辺機器の売り上げでもうけを出してるそうだし、だからソニーはいろいろ試してるんじゃないかな
・ソニーは、開発したハードのことでいろいろ叩かれるのにうんざりしたのかもね。株主も(笑)

Text by NewSphere 編集部